曲線のモジュライ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 02:21 UTC 版)
詳細は「曲線のモジュライ(英語版)」を参照 モジュライスタック M g {\displaystyle {\mathcal {M}}_{g}} は種数 g の滑らかな射影曲線の族と、それらの同型とを分類する。g > 1 のとき、このスタックは安定なノードを持つ曲線(と同型と)に対応する新しい「境界」点を加えることによりコンパクト化することができるかもしれない。曲線が安定とは、自己同型群を有限群でしかないということである。結果として現れるスタックは、 M ¯ g {\displaystyle {\overline {\mathcal {M}}}_{g}} と書く。どちらのモジュライも曲線の普遍的な族を持っている。滑らか、もしくは安定な曲線の同型類を表す荒いモジュライも定義することができる。これらの荒いモジュライは、モジュライスタックが考え出される以前に研究されていた。実際、モジュライスタックはデリーニュ(Deligne)とマンフォード(Mumford)により、荒いモジュライ空間の射影性を証明しようとして、考え出された。近年、曲線のスタックが、実際はより基本的な対象であることが明らかになってきた。 上記のスタックは両方とも次元 3g−3 を持っているので、g > 1 のときは、安定なノードを持つ曲線は 3g−3 個のパラメータの値を選択することで完全に特定することができる。小さな種数では、それらの数を引くことにより、自己同型の滑らかな族の存在を考えに入れる必要がある。ちょうど、種数ゼロの複素曲線(リーマン球)があり、同型群は PGL(2) であるので、 M 0 {\displaystyle {\mathcal {M}}_{0}} の次元は、 dim(種数ゼロの曲線の空間) - dim(自己同型群) = 0 − dim(PGL(2)) = −3. となる。同様に種数 1 の場合は、曲線の 1 次元の空間が存在するが、全てのそのような曲線は次元 1 の自己同型群を持っているので、スタック M 1 {\displaystyle {\mathcal {M}}_{1}} は次元 0 となる。g > 1 のときは、自己同型群は有限群でしかなく、自己同型群の次元は 0 であるので、荒いモジュライスタック空間は次元 3g-3 をもつ。結局、種数がゼロのときは、荒いモジュライ空間は次元が 0 であり、種数が 1 の曲線の荒いモジュライは次元が 1 となる。 n 個の点をマークした種数 g のノードを持つ曲線のモジュライスタックを考えることにより、問題を豊富にすることができる。そのようにマークされた曲線が安定であるとは、曲線の自己同型群のマークされた点が有限個と固定した部分群が有限群であることを言う。n 個の点をマークした種数 g の曲線の滑らか(もしくは安定)なモジュライスタックは、 M g , n {\displaystyle {\mathcal {M}}_{g,n}} (もしくは M ¯ g , n {\displaystyle {\overline {\mathcal {M}}}_{g,n}} ) と書き、次元 3g−3+n と持つ。 特に興味を引く場合として、1つのマークした点を持つ種数 1 のモジュライスタック M ¯ 1 , 1 {\displaystyle {\overline {\mathcal {M}}}_{1,1}} がある。これは楕円曲線のスタックで、多くのモジュラ形式の研究の自然な原点となっており、このスタック上のバンドルの有理型切断となっている。
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