晩年:近世白話小説の翻訳
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「井上紅梅」の記事における「晩年:近世白話小説の翻訳」の解説
1942年には、17世紀に編纂された白話小説選集『今古奇観』全40篇中10篇の翻訳を、台湾の清水書店から刊行した。『今古奇観』は江戸時代以来部分的な翻訳が行われているが、紅梅は未翻訳の篇にも挑み、生涯では18年をかけて17篇の翻訳を完成させている。勝山稔は「概ね原文に忠実」と評価している。この『今古奇観』巻末には『紅楼夢』翻訳の近刊案内が載せられており(B6版400ページという分量から抄訳と思われる。実際に刊行されたかは不明)、晩年の紅梅の活動は古典白話小説に向かっている。 日本文藝家協会の『文藝年鑑』には「文化人名簿」があり、戦後初めて刊行された1948年(昭和23年)版と、1949年(昭和24年)版には紅梅が掲載されているが、1950年(昭和25年)版では削除されており、この時期に死去したと思われる。1949年(昭和24年)、国立結核療養施設「再春荘」(熊本県)の院内文芸誌に入院患者「井上紅梅」の俳句が掲載されており、本項の紅梅は再春荘に結核で入所していた可能性がある。
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