旧完全版(1952年-54年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 07:59 UTC 版)
「フィンセント・ファン・ゴッホの手紙」の記事における「旧完全版(1952年-54年)」の解説
1924年に再版されたテオ宛書簡集(ヨー版〉のオランダ版は、1941年11月に品切れとなった。出版社であるDe Wereldbibliotheek社は更なる再版を望んでいたが、戦争のため断念した。第二次世界大戦後、フィンセント・ウィレムは、ゴッホの生誕100年を機に、それまで公表された全ての書簡を一つにまとめる構想を抱いた。その結果、1952年から1954年にかけて、オランダで当時の決定版といえる全4巻のゴッホ書簡集Verzamelde brievenが発行された(旧完全版)。そこでは、テオ、ベルナール、ラッパルトなどあらゆる人との手紙のやり取りが網羅されており、ゴッホが書いたオリジナルの言語(オランダ語、フランス語、一部英語)で印刷されている。主にニューネン時代に書かれた、日付がないか書きかけのテオ宛の手紙21通、妹ヴィレミーナ・ファン・ゴッホ(ヴィル)宛の手紙22通など、それまで未発表だった手紙も収録されている。 第1巻から第3巻までは、フィンセントからテオ宛の手紙が収録されており、ヨー版書簡集で付された書簡番号がそのまま用いられている。新たに収録された手紙には、数字の後ろにa、b、cといった枝番が付されている。ところが、これらの手紙に交じって、ゴッホに関する第三者の文章が参考資料として掲載されており、それにも手紙と同じような数字と枝番が振られているという特徴がある。 第4巻には、その他の手紙と各種参考資料が収められている。まず、ラッパルト、ヴィル、ベルナール宛の手紙や、テオからフィンセントへの手紙が掲載されている。書簡番号には、それぞれ、頭文字をとってR、W、B、Tという記号が付されている。それに続く章に、各種新聞・雑誌・書籍で発表されたゴッホ回想録など、雑多な資料が収録されている。そして、最後の章には、ゴッホ家の家系についてフィンセント・ウィレムがまとめた文章が掲載されている。 1955年には早くも全2巻での再版が発行され、1973-74年にも再版された。また、イギリスでは1958年にThe complete letters of Vincent van Goghというタイトルで英訳が出版された。この英訳には、フィンセントからテオ宛の手紙5通が新たに収められている。1959年にはイタリア語、1960年にはフランス語、1965年にはドイツ語に翻訳された。 日本語訳はこの版に基づき、二見史郎・粟津則雄・宇佐見英治ほか訳『ファン・ゴッホ書簡全集』(みすず書房(全6巻)、1969‐70年、改訂版1984年)、硲伊之助訳『ゴッホの手紙』(岩波文庫 全3巻、抜粋訳)が出版された。
※この「旧完全版(1952年-54年)」の解説は、「フィンセント・ファン・ゴッホの手紙」の解説の一部です。
「旧完全版(1952年-54年)」を含む「フィンセント・ファン・ゴッホの手紙」の記事については、「フィンセント・ファン・ゴッホの手紙」の概要を参照ください。
- 旧完全版のページへのリンク