日本疲労学会診断指針 2007
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 05:35 UTC 版)
「慢性疲労症候群の診断基準」の記事における「日本疲労学会診断指針 2007」の解説
以下のように示されている。 6か月以上持続する原因不明の全身倦怠感を訴える患者が、下記の前提I, II, IIIを満たした時、臨床的にCFSが疑われる。確定診断を得るためには、さらに感染・免疫系検査、神経・内分泌・代謝系検査を行うことが望ましいが、現在のところCFSに特異的検査異常はなく、臨床的CFSをもって「慢性疲労症候群」と診断する。 〔前提I〕 病歴、身体診察、臨床検査を精確に行い、慢性疲労をきたす疾患を除外する。ただし、抗アレルギー薬などの長期服用者とBMIが40を超える肥満者に対しては、当該病態が改善し、慢性疲労との因果関係が明確になるまで、CFSの診断を保留し、経過観察する。また、気分障害(双極性障害、※精神病性うつ病を除く)、不安障害、身体表現性障害、線維筋痛症は併存疾患として扱う(※妄想や幻覚を伴ううつ病の場合に、精神病性うつ病と呼ばれる)。 〔前提II〕 〔前提I〕の検索によっても慢性疲労の原因が不明で、以下の4項目を満たす。 この全身倦怠感は新しく発症したものであり、急激に始まった 十分休養をとっても回復しない 現在行っている仕事や生活習慣のせいではない 日常の生活活動が発症前に比べて50%以下になっている。あるいは疲労感のため、月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる 〔前提III〕 以下の自覚症状と他覚的所見10項目のうち5項目以上を認める。 労作後疲労感(労作後休んでも24時間以上続く) 筋肉痛 多発性関節痛(腫脹はない) 頭痛 咽頭痛 睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅延) 思考力・集中力低下 微熱 頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合) 筋力低下(8,9,10の他覚的所見は、医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて 2回認めること)。 今回、CFSに加え、特発性慢性疲労(英: idiopathic chronic fatigue、ICF)という診断名が追加された。上記前提I, II, IIIに合致せず、原因不明の慢性疲労を訴える場合、ICFと診断し、経過観察する。従来の「CFS疑診例」に相当するものだが、ICFは国際的に通用する用語であり、ICFという病態は患者に説明しやすく、診療報酬の観点からも有用と考えられている。
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