日本国外における馬インフルエンザの発生と影響
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「馬インフルエンザ」の記事における「日本国外における馬インフルエンザの発生と影響」の解説
1971年の日本における馬インフルエンザが終息したその翌年の1973年5月には、韓国でも発生した。トゥクソム競馬場に在籍する競走馬で357頭中310頭(87%)までも罹患し2週間競馬が中止に追い込まれた。 1986年、南アフリカでは馬インフルエンザの大流行により競馬が約3ヶ月開催されなかった(感染源はアメリカの輸入馬)。 1987年、インドでフランスからの輸入馬を感染源として馬インフルエンザの流行がおこった。 1992年11月には香港・沙田競馬場において罹患した馬達が確認され、同年12月まで競馬開催は休止となった。これに伴い、香港招待カップおよび香港招待ボウルは翌1993年4月18日に順延開催された。11月16日から12月9日の24日間に、沙田競馬場に在厩した958頭のうち402頭(約42%。資料によっては955頭のうち356頭(約37.3%))が感染したが、重症は2頭(うち1頭は安楽死処分)に留まった。このときすべての在厩馬に定期的なワクチン接種は行われていた。感染源はイギリスあるいはアイルランドからの輸入馬といわれている。 中国では1993-1994年にかけて、内モンゴルを原発とする大流行が起ったが、これはロシア経由で導入されたウマ2型ウイルスの感染馬が原因とみられている。このときは、およそ1年の間に、馬、ロバ、ラバなど224万頭余が臨床症状を発現し約2万4600頭が死亡したとされる。 2003年、3月から5月にかけてイギリス・ニューマーケットで馬インフルエンザが大流行した。 2003年12月9日にはケープタウンで最初の感染が確認され、12月19日までに南アフリカ国内で約2600頭に感染し(最終的には約3500頭が感染したとされる)、競馬の開催が中止された。このときの感染源は11月26日にアメリカからアムステルダム経由でケープタウン空港に輸入された競走馬32頭であると考えられている。 なおアメリカ、イギリス、フランス、スウェーデンなどでは毎年のように馬インフルエンザが発生しており、珍しいことではない。しかし、ヨーロッパやアメリカなどの馬インフルエンザウイルスの常在地ではほとんどが感染経験のある馬群のため比較的軽度な症状の流行形態をとることが多く、競馬の開催が全国的に中止されることは少ない。 一方、アジアや南アフリカでの馬インフルエンザの原因のほとんどは、アメリカやヨーロッパからの輸入馬が感染源である。ただし、例外も存在する。中国東北部における1989-1990年の馬インフルエンザは鳥インフルエンザに由来するものである(馬インフルエンザと同じH3N8の抗原性を持っていたが、遺伝子構造が鳥インフルエンザに由来するものだった)。このとき2万頭以上に感染した(感染率は81%、死亡率は20%以上)とされているが、この鳥型インフルエンザウイルスは、このとき以外確認されていない。
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