日本の里親制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 09:41 UTC 版)
2016年現在では、通常の親権を有さずに児童を養育する者は、個人間の同意の下で児童を養育する「私的里親」と、児童福祉法に定める里親制度の下で、自治体などから委託された児童を養育する「養育里親」「専門里親」などがある。里親は児童福祉法により定められた研修を受けたのち児童福祉審議会里親認定部会で審議され、里親として認定された者でなければならない。また、子どもを里親に預けたい場合は居住地の児童相談所へ問い合わせをする。東京都では養育家庭をさらに親しみやすく、かつ多くの方に覚えてもらうため、平成18年に愛称を公募し、「ほっとファミリー」もしくは「養育家庭」という愛称も使っている。 厚生労働省では2016年の改正児童福祉法を具体化した「新しい社会的養育ビジョン」において、原則就学前の施設入所停止や、7年以内の里親委託率75%以上など数値目標を定め、養護施設に対しては、入所期間を1年以内とし、機能転換も求めている。この児童福祉法改正では、実親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)や里親による養育を推進することを明確にしており、これは、国会において全会一致で可決されたものとなっている。児童養護施設側では、児童養護施設の存在意義が否定されたと感じている場合もあり、高い目標値の設定に反発している。一方で、家庭での養育を推進するために里親制度の普及活動に取り組む児童養護施設長もいる。なお、児童養護施設に入所する子どもの大学・専門学校進学率は11%程度に対し、里親養育下の子どもの大学進学率は例年20%程度で約10%上回っており、里親下での養育の方が進学に適切な支援が得られている可能性がある。「いまは引き取れないが、いつでも会いに行けるように、まだ施設で預かっていてほしい」「自分で育てるのは無理だが、手放すのは嫌だ」などの親の意向から、里親や養子縁組が進まないことがある 。しかし、里親制度は特別養子縁組と異なり、里親は一時的支援を目的としており里親と子どもの間に新たな戸籍関係などは構築しない。里親支援者は一時的に養育をお母さんと一緒にやって行く、“お母さんのサポーター”とその制度を表現している 。兵庫県明石市ではあかし里親100%プロジェクトとして市が里親開拓に取り組み、2年間で1.6倍に里親を増やした。 2021年2月「全国家庭養護推進ネットワーク」は、里親家庭を支える役割を児童相談所が担っているが多忙のため進まないことを懸念し、民間機関への委託を厚労省に提案することを表明している。
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