日本のダムと環境事情
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 20:21 UTC 版)
河川環境の面からダムを批判する場合、取り上げられるのは「涸れ川」の問題である。ダムの貯水によって河川の正常な流況が阻害され、漁業や環境に悪影響を及ぼすというものである。発電専用ダムの場合ではそういった指摘はある程度正しく、高度経済成長期には電源開発が重視された結果、河川流水機能が著しく悪化した例は全国各地で見られた。 発電用水利権を電力会社が保持している事から流水の復活は絶望的であったが、1997年(平成9年)に河川法が改正され、環境保護思想の高まりを背景に「河川環境維持」が法の趣旨に加えられた。多目的ダムでは通常不特定利水としての「河川維持用水」目的を持ち、豊水・渇水問わず常に一定量の水量を放流することで下流の河川環境(特に生態系)の改善を図る目的を有しており、一定量の河川流量維持は目的の一環として行われている。 多目的ダムの中には有明海や瀬戸内海に注ぐ河川(筑後川・吉井川等)のように冬季渇水期にノリ養殖保全のため、漁業協同組合の要請でダムの放流が行われる例も有る。また、先述の発電専用ダムにおいても、後述の大井川や信濃川のように流域自治体の要請により放流量を増加するケースが増え、ダム自体にも維持放流設備を備えるものが多くなってきている。この場合、住民の要請を受けた河川管理者(国土交通省や都道府県知事)が電力会社に仲介・交渉することが多い。
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