施設への指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/05 15:34 UTC 版)
2016年児童福祉法改正では施設利用制限の設定や里親委託率の目標値を設けると共に、実親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)や里親による養育を推進することを明確にしており、これは、国会で全会一致で可決された。施設存続の立場ばかりでなく、家庭での養育を推進するために里親制度の普及活動に取り組む児童養護施設長もいる。イギリスにおいても長年施設ケアが中心となっていたがジョン・ボウルビィの研究などで施設入所が乳幼児にいかに負の方向に影響するかの発表がなされ、脱施設化にかじを切った。また1960年代以降は避妊方法の普及や非嫡出子への偏見が減りシングルマザーが施設へ子供を預けず自ら育てる状況となった結果も相まって乳児院の入所者自体も減少し、スタッフや小児科医の反対も経つつ最終的に乳児院閉鎖に至った。大手乳児院のバーナードス元代表(CEO)ロジャー・シングルトン卿は施設入所の早急な中止と、障害児も含めたすべての子どもに小規模ホームなどではなく里親や養子縁組の家庭支援を呼び掛けている。イギリスにおいてはファミリーグループホームは決してファミリー・プレイスメント(家庭委託)ではなく、中途半端な資源形態では子どものニード充足には不十分との判断がある。 ところで2019年6月公布の児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律により、令和4年度までに「児童の保護及び支援に当たって、児童の意見を聴く機会及び児童が自ら意見を述べることができる機会の確保、当該機会における児童を支援する仕組みの構築、児童の権利を擁護する仕組みの構築その他の児童の意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるための措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とされている。三重県では子どものアドボケイト(代弁者)制度を試験導入している。2020年3月には堺市でNPO法人で施設入所児の「意見表明」を支援する団体が設立されている。
※この「施設への指針」の解説は、「乳児院」の解説の一部です。
「施設への指針」を含む「乳児院」の記事については、「乳児院」の概要を参照ください。
- 施設への指針のページへのリンク