文化と見なすかどうか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/12 00:03 UTC 版)
「文化 (動物)」の記事における「文化と見なすかどうか」の解説
上記のようなさまざまな例が、文化と呼べるものであるかどうかについては、さまざまな議論がある。 先に挙げたような例は、いずれも後天的に獲得され、個体間の伝播で広まり、動物集団ごとに一定の型がある点など、人間に見られる文化的現象との間に、一定の共通点がある事は認められる。そういった立場から、これらを動物における文化であると見なす立場もある。 しかしながら、たとえば芋を洗い、味付けをするサルが、その後豊かな食文化を開発したかと言えば、そのようなことはない(ただし、元々砂浜に撒かれた芋を淡水の河口で砂を洗い流す行為から派生した「味つけ」という行為が年長者にも子孫にも伝承されている事実もある)。シジュウカラの例でも、彼らがその後にそれまでと異なった生活に入ったという話は聞かない。 これに対して、人間における文化は、人間の生活のあり方そのものを変えるほどに広範囲にわたり、それが世代を重ねるにつれ、次第に蓄積されるところにも特徴がある。また、文化が異なる人間間では意志疎通や感情の交流が困難なほどに、人間の根本に関わっている。そう言った面を重視する立場からは、これらの動物における例を、文化と共通する面があることは認めるにせよ、とても文化とは呼べないとする意見もある。 このような両端の意見に配慮して、これらの動物に見られる、文化的な現象をさして"preculture" (前文化[訳語疑問点])と呼んではどうかとの提案もあるが、広く認められてはいない。
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