政治的文化的情況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 18:58 UTC 版)
「バイブル・ベルト」の記事における「政治的文化的情況」の解説
「バイブル・ベルト」という用語は、主に(常に、ではないが)悪口として、また反プロテスタントの論者によって、ステレオタイプな形で非常に宗教的(あるいは、異常に宗教的)といわれる地域や人々を指すのに使われる。 この用語は「フライオーバー・カントリー」(東海岸と西海岸の大都会の間の、飛び越されてしまうアメリカ中央部、2004年アメリカ大統領選挙でブッシュ支持地域を指すのに使われた)や、ネガティブな意味の「ハートランド」のように、特定の地域のことを指すための用語ではないが、しばしば国土の中央を貶めて語るのに使われる。 政治的には、この用語はしばしば、キリスト教聖書に信仰を依存する文化的保守主義者を一言で述べるのに使われる。 こうした現行の「バイブル・ベルト」という用語の使い方に反論する事実もいくつかある。 アメリカ南部では現在プロテスタントが多数派であるが、相当多くのアフリカ系アメリカ人の固定的な信徒がいるからである。 フロリダ州の南東部の海沿いでは、アメリカ合衆国中西部の産業地帯同様、プロテスタントの固定的な信徒の教会出席率は低い。プロテスタントの教会出席率が一番高いのは、テキサス州からノースダコタ州の平原に南北に広がる「バイブル・ストリップ」である。 全米のキリスト教徒で教会への出席率が一番高いのは、毎日ミサに出席するカトリックである。また地理的に全米でキリスト教徒の教会出席率が一番高いのは、バイブル・ベルトではなくカトリックが多数を占める東西両海岸である。カトリック人口を多く抱えるボストン、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク同様、サンベルト沿いも都市部では多くのカトリック人口を抱えているため教会出席率は両海岸同様高い。 ここ50年で一番大きな変化は、中西部の産業地帯とニューイングランドなど東海岸でプロテスタントの教会出席率が激減したことである。中西部はプロテスタントが主流であり、いまでも活動的な信徒は大勢いる。一方、両海岸ではカトリックが増えプロテスタントが教会に行かないのでプロテスタント教会が減少した。これらのことが、アメリカのプロテスタントの重心が東部から中部・南部へ移り、結果文化的・政治的にこれらの地域を分けてしまった。 プロテスタントはカトリック以上に聖書教育を強調するため、プロテスタントはカトリック以上に「バイブル・ベルト」という言葉に結びつきやすい。もし教会出席率がバイブル・ベルトと呼ばれるための鍵ならば、実はボストン、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨークなどこそがアメリカの宗教の中心と呼ばれるべきである。しかし、バイブル・ベルトという用語は、南部や中西部との深いかかわりの中で、さらに左派が田舎の偏狭さや反知性主義と否定的に比較している保守的な社会的政治的信念とのかかわりの中で、聖書を文字通りに解釈するような宗教的な人々を述べるのに使われており、そのような使われ方が広まってしまっている。一方でバイブル・ベルトの側には、両海岸やその大都会に対し、無神論的で堕落していて、罪の巣窟だとするようなステレオタイプが存在する。実際は両海岸はカトリックが多くバイブル・ベルトと同じくらい宗教的であるにもかかわらずである。
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