改良と中距離型への発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 02:29 UTC 版)
「エアバスA300」の記事における「改良と中距離型への発展」の解説
販路拡大のため、エアバス・インダストリーはA300の性能向上に努め、A300B2・B4ともにペイロードや燃料搭載量を増やせるよう最大離陸重量を引き上げたほか、A300B2では離陸性能向上型が開発された。 A300B2の最大離陸重量を142トンとしたタイプは1975年6月20日に型式証明を取得し、座席数269席での航続距離は1,400海里(約2,590キロメートル)から1,800海里(約3,330キロメートル)に向上した。また、A300B4で採用されたクルーガー・フラップをA300B2にも装備して高地や高温地域での離陸性能を向上させたタイプも開発された。このタイプはA300B2Kと名付けられ、南アフリカ航空から初受注した。A300B2Kの初号機は通算32号機で1976年7月30日に初飛行し、同年11月23日に納入された。 1976年6月10日にはA300B4の最大離陸重量を157.5トンに上げたタイプに型式証明が交付され、航続距離は2,600海里(4,820キロメートル)となった。さらに、A300B4では主翼と主脚(降着装置)の強度を向上し、ブレーキとタイヤの容量を増すことで最大離陸重量を165トンまで引き上げたタイプも開発された。このタイプでは貨物室に燃料タンクを増設でき、その場合の航続距離は3,000海里(5,560キロメートル)となった。165トン仕様は1978年1月にエールフランスから初受注し、1979年4月26日に型式証明を取得、同月末から引き渡しが始まった。 この間、1978年4月にエアバス・インダストリーはA300の型式名の整理を行い、クルーガー・フラップを持たないB2をB2-100、B2KをB2-200、最大離陸重量が165トン以上のB4をB4-200、それ以外の標準型B4をB4-100と呼ぶようになった。 その他にも設計改良が続けられ、着陸滑走距離の短縮や、燃料系統の工夫によるタンク有効容積の改善なども行われた。また、1975年にエールフランスのA300でオートパイロットが誤作動する事象があったため対策が打たれたほか、金属疲労対策として部品が変更されたり、トルコ航空DC-10パリ墜落事故を受けた急減圧への対策などが施された。 こうして、エアバス・インダストリーの努力によってA300は改良が重ねられ、欧州域内の短距離専用機から、5,000キロメートルを超える中距離路線にまで使える幅の広い旅客機に成長した。当時双発機の飛行が難しかった大洋横断航路は無理であったが、欧州と中東・アフリカ間路線や東南アジア路線といった海上路線でもA300が運航されるようになった。
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