採用・昇格・降格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:25 UTC 版)
行司の新規採用は、義務教育を修了した満19才までの男子で、適格と認められる者から行う。新規採用者に対して、3年間見習として養成期間をおく。但し、行司の階級順位により番付編成することは妨げない。 行司の階級の昇格・降格は原則年1回で、9月場所後に開催される番付編成会議において、毎本場所および毎巡業ごとに審判部長等が作成した考課表に基づき審議した後に理事会において決定し、翌年1月より適用される。行司の定員は45名以内、うち十両格以上の定員は22名以内と定められている。立行司を除いて、それぞれの格の行司を何名にするかは特に規定されていない。ただし、特別な失態がない限りワンランクずつ昇格することが慣例となっている。なお、立行司に関しては成績考課から除外され、自己責任においてその進退が委ねられている。 行司の昇格・降格は年功序列によることなく、次の成績評価基準に基き、理事会の詮衡により決定する。 土俵上の勝負判定の良否 土俵上の姿勢態度の良否 土俵上のかけ声、声量の良否 指導力の有無 日常の勤務、操行の状況 其の他行司実務の優劣 かつては能力を一切考慮せず年功序列により昇格が決まり、終身制でもあったため上位の行司に欠員が無い限りは出世することができなかった。そのため、先輩行司が死ぬとひそかに赤飯を炊いて喜ぶという不謹慎なエピソードも残されている。 幕下格行司および十両格行司は年9回以上、幕内格行司および三役格行司は年6回以上差し違えをすると一枚降格の処分となる。ただし、一場所で3回以上差し違えをした場合は無条件で一枚降格処分となることが原則となっているが、最近はあまり厳格ではない。 停年(定年)は満65歳で、2015年より規定が変わって、停年日が本場所途中であっても、停年日を迎えた場所の千秋楽まで職務継続が可能となった。従前は、1月場所後に役員選挙がある際、役員選挙権のある立行司は春場所前の2月の停年日まで職務に就いていたが、通常は停年日を迎える直前の本場所千秋楽で引退し、後継者に引き継ぐのが慣例となっていた(29代木村庄之助は停年日が本場所千秋楽と同日ということもあった)。 行司で幕内格に昇進したのち30年以上行司を務めた立行司木村庄之助のうち、人格・技量など特に秀でた者に「松翁」の“名誉尊号”を与えることもあるが、20代木村庄之助を最後に80年以上経った現在も未だに出ていない。
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