捕食者同士の争い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 01:57 UTC 版)
本種とブチハイエナが同所的に分布している地域では、この2種が同じ生態学的なニッチを占めて対立することになる。時には全体の食糧の68.8%が重なってしまうことがある。ンゴロンゴロ保全地域では本種がブチハイエナの倒した獲物を奪うことが日常的になっていて、ブチハイエナの高い死亡率につながっている。ハイエナたちが食事をする時の呼び声をテープで再生すると、本種が現れるという報告例もある。命の危険に晒されたブチハイエナはすぐその場から立ち去るか、30-100mほど距離を置いて食事が終わるまで待ち続ける。一方でハイエナの数が圧倒的に優勢な時など場合によっては食事を続けたり、逆に本種に襲い掛かることもある。食糧とは関係ないところでもこの2種は対立することがあり、はっきりとした理由が見えないような状況で本種がハイエナに飛びかかり、傷を負わせたりする。1頭の雄ライオンが別々の場所でリーダー格の雌ハイエナ2頭をかみ殺した姿が記録されていて、このオスはハイエナを食事にしたわけではない。エトーシャ国立公園のハイエナの71%は本種に襲われて死んでいる。ブチハイエナはライオンが繰り返し自分たちの縄張りに侵入してくるプレッシャーに耐えているのだ。飼育されたブチハイエナである実験をすると、ライオンに全く接した経験のない個体はその姿を目にしても無関心であるが、匂いを嗅ぐと怯えだすということが明らかになった。 チーターやヒョウといったライオンより小型のネコ科動物と共存している地域でも、ライオンは支配的な影響力を持つ傾向にあり、その獲物を奪うほか、子供たちや時には大人(成獣)でさえも捕食してしまう。チーターがその獲物をライオンや他の捕食者に奪われる確率は50%にもなる。ライオンはチーターの子供にとって最大の脅威であり、襲われて生後1週間で命を落とす子供は実に90%に達する。チーターは時間を細かくずらして狩りを行い競合を避け、子供たちは深い茂みに隠しておく。ヒョウも同じような戦略を使っているが、チーターと違ってヒョウは木登りが得意であり、そこに子供たちを置くことでライオンから身を守っている。しかし、雌ライオンは時々ヒョウの獲物を奪うために木に登ることがあるが、ヒョウ程高い所までは登れない。リカオンに対してもライオンは優位に立ち、獲物を奪いとるだけでなくまた稀にリカオンの子供や大人を狩ることもある。 アフリカニシキヘビも彼らの捕食対象となる。 陸に上がったナイルワニは頻繁にライオンに狩られるが、水辺ではライオンがワニの餌食になる事もある。
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