拡散性・非帰属性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:15 UTC 版)
化石燃料の消費によって起こる大気汚染には、発生者・地域と被害者・地域が一致しないという問題もある。大気は地球全体でつながっているため汚染は広範に拡がり、しかも地形や気流などにより特定の地域に被害が集中しやすい。 たとえば前述の北欧での酸性雨も、工業地帯から遠く離れた農村部でまず被害が起こった。また喘息公害でも、たとえばICEVを使わない選択をしたとしても被害を免れることができない上、喘息の苦しさは目に見えるものではないため、ICEVに乗っている者には被害者の痛みが伝わらず被害実態が理解されにくいという矛盾が、事態の悪化が放置される一因となっている。 地球温暖化については、二酸化炭素の排出量は中緯度地域に偏重しているが(右グラフを参照)、真っ先に影響を受け深刻な事態が起こるのは、北極・南極などの極地や太平洋諸島などほとんど二酸化炭素を排出していない(つまり化石燃料の消費による利益を得ていない)地域と想定されている。このほか、低地の多いオランダや北極圏に位置する北欧諸国などでも大きな影響が想定されている。また政治的にも危機意識が共有されにくいという問題もある。 近年になりようやく問題を把握することのできた国際社会では、その影響の拡大を食い止め抑制するために1992年に気候変動枠組条約を締結、さらに1997年の京都議定書により化石燃料から出る廃棄物など温室効果ガスの排出量削減を約束することとなった。西欧諸国ではその目標に向けて行動しているものの、自国の経済発展が最優先と考える者たちのため、依然として対策が進まない実情がある。2015年にはパリ協定 (気候変動)が採択され、2016年には発効したことで、温室効果ガスの削減努力はさらに強化された。
※この「拡散性・非帰属性」の解説は、「化石燃料」の解説の一部です。
「拡散性・非帰属性」を含む「化石燃料」の記事については、「化石燃料」の概要を参照ください。
- 拡散性・非帰属性のページへのリンク