技法による種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 20:58 UTC 版)
変わり無地ちりめん ……1957年(昭和32年)に開発されて以来、現在まで無地ちりめんの主流製品となっている。湿度の影響を受けやすい一般的な縮緬の欠点である縮みを軽減し、シワができにくくした縮緬。緯糸に、強撚糸に他の撚糸や生糸を絡ませるなどして1本にした「変わり撚糸」を用いる。糸の撚りのちがいによる縮みや左右の変わり撚りの戻りによって、織物全体が縮む率を軽減させている。 一越ちりめん ……伝統的な丹後ちりめんで、シボが美しく、柔らかい風合いを醸し出す縮緬。経糸に平糸を用い、緯糸に右撚りの強撚糸と左撚りの強撚糸を1本ずつ交互に織り込む。 古代ちりめん ……一越ちりめんよりシボが大きく、色無地などに使用される縮緬。古代の白生地に似た風合いのためこう呼ばれるが、シボが大きいことから「鬼シボちりめん」ともいう。緯糸に右撚りの強撚糸と左撚りの強撚糸を2本ずつ交互に織り込むことから、「二越ちりめん」ともいう。 紋綸子ちりめん ……綾織りの表と裏を使いわけて紋様を出した縮緬で、重目のものは訪問着などの高級着になり、軽目のものは襦袢地に使用される。 紋意匠ちりめん ……よこ糸を二重にすることで、地紋の変化と深みを表現した縮緬。染め上げると立体感があり、無地染めやぼかし染めに人気がある。1968年(昭和48年)頃に主流となり、その後、他の縮緬に人気を奪われるが、2017年現在ふたたび、丹後ちりめんの大半はこの紋意匠ちりめんが占めている。 縫取ちりめん ……生地に金糸や銀糸、ラメ糸、漆糸などの装飾糸を使いわけて、模様を織りだした華やかな縮緬。打掛や振袖など、とくに豪華な和装に使われる。 駒綸子ちりめん ……1962年(昭和37年)に開発された。経糸に駒糸とよばれる強撚諸撚糸を用い、比較的シワができにくい生地となっている。織りで表現される地紋を活かした染め着物の生地で、光沢があり、シャリッとした風合いが持ち味。全盛を極めたのは1964年(昭和39年)頃だが、現在もファンが多い。 五枚朱子ちりめん ……「どんすちりめん」とも呼ばれる。表面に綺麗な光沢をもつ縮緬で、華やかな中振袖や若者向けの付下げなどに使われる。1985年(昭和60年)頃に流行した。 朱子意匠ちりめん ……紋意匠と五枚朱子の中間的な縮緬で、双方の特徴を併せ持つ。染め付きがひじょうに良く、厚めのためシワができにくい生地。 絽・紗ちりめん ……シースルーで通気性に優れたの夏向きの生地。生糸100%で織られる。 金通しちりめん ……縮緬地に金糸を織り込んだもの。丹後ちりめんは染色性に優れるものの、金糸は染まらずそのままの光沢を放つ。 銀通しちりめん ……縮緬に銀糸を織り込んだもの。 このほか、変わり撚糸を用いて織られた古代ちりめん「変わり古代ちりめん」、「銀無地ちりめん」、「綸光ちりめん」など、経糸と緯糸の様々な組み合わせにより多様な種類がある。
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