技法の解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 01:23 UTC 版)
プリエはバレエにおいてすべての動きに付随し、ジャンプ(跳ぶパ)や回転などさまざまな動作のプレパラシオンとして重要な技法である。とりわけ跳ぶパ(ジュテやシソンヌなど)では跳躍する際のばねの役割とともに着地する際にはその衝撃を和らげる働きを持つ。 バレエレッスンでは、プリエを習得することによってアン・ドゥオールの姿勢を体得するとともに、体幹部を意識することで腹部などの引き締め効果のあるエクササイズ法ともなる。アキレス腱を最大限に伸ばす必要があるために足首の柔軟性が要求され、アキレス腱部分のストレッチ効果ももたらされる。日常のレッスンでは、単に膝を曲げるのではなく、股関節、膝、そして爪先ができるだけ外側(180度)に開いていき、アン・ドゥオールの姿勢を保つことが理想である。 プリエは脚の5つのポジションすべてにおいて実行される。最初はドゥミ・プリエのみを練習し、股関節と膝、爪先が可能な限り同じアン・ドゥオールの方向(外側180度)に向くように注意を払う。ドゥミ・プリエの練習の際は、かかとは床面から離してはならない。どの種類のプリエを行うときでも上体にも意識を向け、むしろ上に引き上げることを意識しながら膝を曲げて下半身の重心を落としていく。膝を曲げるときには腰を曲げたり臀部を突きだしたりせず、いわゆるアプロンの状態を保つ。 ドゥミ・プリエを一歩進めてグラン・プリエを実行するときは、膝を曲げる角度が深くなるにつれてかかとは床面から離れていく(2番ポジションからのグラン・プリエを除く)。グラン・プリエから体勢を戻すときは、膝を伸ばすよりも先にかかとを先に下ろす要領でドゥミ・プリエの姿勢を通っていくように心がける。すべてのプリエを実行する際には、体重が両方の足に平均にかかるようにし、両膝の高さも同じにする。グラン・プリエの際には、左右のかかとを同じ高さにするが、4番ポジションからのグラン・プリエはそれが困難である。 プリエは重要な技法であるが実際の舞台鑑賞上では一見地味な存在であり、表現方法として強調しようとするとかえって美しさを損なう場合さえある。ただし、現代のバレエ作品においてはモーリス・ベジャールの『ロミオとジュリエット』やローラン・プティの『プルースト 失われた時を求めて』、あるいはジョン・ノイマイヤーの諸作品などでバレリーナにあえて深々としたプリエの姿勢を取らせることによって、観客に向けて象徴的な意味を示唆するケースが見られる。
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