プリエとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > プリエの意味・解説 

プリエ【(フランス)plier】

読み方:ぷりえ

(ひざや腕などを)曲げること。屈伸すること。


プリエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/23 14:00 UTC 版)

ドゥミ・プリエ

プリエ (: plié) は、バレエにおける技法の1つ。両脚、または片脚の膝を曲げていく動作、または曲げられた膝の状態を指す[1][2][3]。バレエにおいてすべての動きに関係し、ジャンプや回転などさまざまな動作のプレパラシオン[注釈 1]として重要な技法である[1][2][5][6]。日常のレッスンは、バーでのプリエの練習から入るのが原則とされる[7][8]

語源と種類

プリエ (plié) は、フランス語で腕や膝などを「曲げる、折る」ことを意味するplierという他動詞過去分詞形が名詞化した言葉である[1][8]。バレエにおいては、両脚、または片脚を外旋(アン・ドゥオール)[注釈 2]させた状況で膝を曲げていく動作、または曲げられた膝の状態を指す[1][2]

プリエには大きく分けてドゥミ・プリエ (: demi-plié) とグラン・プリエ (: grand plié) の2種類があり、膝を曲げる深さによって区別される[2][3][7][10]。ドゥミ・プリエの「ドゥミ」には「半分」という意味合いがあり、両脚をその付け根から外旋させた状態で立ち、かかとは床面から離さずにアキレス腱を伸ばして膝を曲げる[2][5][10]

対するグラン・プリエは、「大きい」を意味する「グラン」の言葉どおりにドゥミ・プリエの場合よりさらに腰を下げて膝を曲げていくが、しゃがむ体勢とは違って臀部にかかとが接触したり、大腿部とふくらはぎが密着したりしてはいけない[2][7][10]。膝を曲げる角度が深くなるにつれて、かかとは床面から離れていく[2][3][10]。ただし、2番ポジションからのグラン・プリエのみはかかとは床面から離さずに実行する[7][10]

単に「プリエ」というときは、多くの場合両脚の膝をゆっくりと曲げていく動作を指す[8]。片脚での場合、ジュテ[注釈 3]シソンヌ[注釈 4]など跳ぶにおいて着地する足はドゥミ・プリエの状態となる[2][10]

プリエは日常のバレエレッスンでの最も重要な基本動作である[7][8]。原則として、バーでのプリエの練習から始めて体を暖め、それからフロアでのレッスンに移る[7][8]

技法の解説

プリエはバレエにおいてすべての動きに付随し、ジャンプ(跳ぶ)や回転などさまざまな動作のプレパラシオンとして重要な技法である[1][2][5][6]。とりわけ跳ぶパ(ジュテ[注釈 3]やシソンヌ[注釈 4]など)では跳躍する際のばねの役割とともに着地する際にはその衝撃を和らげる働きを持つ[1][10]

バレエレッスンでは、プリエを習得することによってアン・ドゥオールの姿勢を体得するとともに、体幹部を意識することで腹部などの引き締め効果のあるエクササイズ法ともなる[5][13][14]。アキレス腱を最大限に伸ばす必要があるために足首の柔軟性が要求され、アキレス腱部分のストレッチ効果ももたらされる[5][10]。日常のレッスンでは、単に膝を曲げるのではなく、股関節、膝、そして爪先ができるだけ外側(180度)に開いていき、アン・ドゥオールの姿勢を保つことが理想である[13]

プリエは脚の5つのポジションすべてにおいて実行される[6][7]。最初はドゥミ・プリエのみを練習し、股関節と膝、爪先が可能な限り同じアン・ドゥオールの方向(外側180度)に向くように注意を払う[6][13]。ドゥミ・プリエの練習の際は、かかとは床面から離してはならない[2][5][6]。どの種類のプリエを行うときでも上体にも意識を向け、むしろ上に引き上げることを意識しながら膝を曲げて下半身の重心を落としていく[13][10][14]。膝を曲げるときには腰を曲げたり臀部を突きだしたりせず、いわゆるアプロン[注釈 5]の状態を保つ[3][1][14]

ドゥミ・プリエを一歩進めてグラン・プリエを実行するときは、膝を曲げる角度が深くなるにつれてかかとは床面から離れていく(2番ポジションからのグラン・プリエを除く)[2][3][6][7]。グラン・プリエから体勢を戻すときは、膝を伸ばすよりも先にかかとを先に下ろす要領でドゥミ・プリエの姿勢を通っていくように心がける[3][6]。すべてのプリエを実行する際には、体重が両方の足に平均にかかるようにし、両膝の高さも同じにする[3]。グラン・プリエの際には、左右のかかとを同じ高さにするが、4番ポジションからのグラン・プリエはそれが困難である[3]

プリエは重要な技法であるが実際の舞台鑑賞上では一見地味な存在であり、表現方法として強調しようとするとかえって美しさを損なう場合さえある[1]。ただし、現代のバレエ作品においてはモーリス・ベジャールの『ロミオとジュリエット』やローラン・プティの『プルースト 失われた時を求めて』、あるいはジョン・ノイマイヤーの諸作品などでバレリーナにあえて深々としたプリエの姿勢を取らせることによって、観客に向けて象徴的な意味を示唆するケースが見られる[1]

脚注

注釈

  1. ^ : préparation: preparation。「準備」を意味し、ある動作に入る前のポーズを指す[4]
  2. ^ : en dehors英語ではターンアウト (turn out) といい、股関節を体の中心から外に開いた姿勢(外旋)を指す。対義語にアン・ドゥダン (: en dedans) があり、アン・ドゥオールとは逆に内旋の姿勢をとる[9]
  3. ^ a b : jete。投げる、投げ捨てるを意味する。跳ぶパとしては、片足を前または横に投げ出して軸足で踏み切り、投げ出した方の片足で着地する動き[11]
  4. ^ a b : sissonne。5番ポジションからドゥミ・プリエをして両足で踏み切り、片足で着地する動き。考案者の名(16世紀フランスの伯爵)に由来するという[12]
  5. ^ : aplomb。「鉛直に」、「垂直に」という意味を持ち、バレエ用語としては安定性や落ち着き、垂直志向性などの状態を指す[15]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 赤尾、pp. 27-29
  2. ^ a b c d e f g h i j k 川路 (1980) 、p. 21
  3. ^ a b c d e f g h 川路 (1994) 、pp. 7-9
  4. ^ 『バレエ用語集』p .22
  5. ^ a b c d e f 『バレエ用語集』p .26
  6. ^ a b c d e f g 『別冊ダンスマガジン バレエって、何?』pp. 102-103
  7. ^ a b c d e f g h 菘、pp. 56-57
  8. ^ a b c d e 『オックスフォード バレエダンス辞典』p. 461
  9. ^ 『バレエ用語集』p .15
  10. ^ a b c d e f g h i 石島みどり. “大人バレエの技術解説9 「プリエ」”. All About. 2015年6月7日閲覧。
  11. ^ 川路 (1980) 、p. 45
  12. ^ 川路 (1980) 、p. 61
  13. ^ a b c d 木村、pp. 108- 109
  14. ^ a b c バレエエクササイズ第2回「お腹の中から引き締める」”. nikkansports.com. 2015年6月7日閲覧。
  15. ^ 川路 (1980) 、p. 106

参考文献

外部リンク


プリエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 07:57 UTC 版)

プリエ姫路」の記事における「プリエ」の解説

JR姫路駅東改札口の西に位置する若い女性ターゲットにした56前後専門店が並ぶ。名前の由来は『上質な生活を駅から貴方へ』という意味があるPrecious Life in Eki』の頭文字から。現在のピオレヤング館。 2階建てとなっており、2階にはジュンク堂書店入居している。また1階ショッピングセンター部分の上吹き抜けとなっている。キャッチフレーズの『堂々の吹き抜け大空間』は、このような構造から由来している。

※この「プリエ」の解説は、「プリエ姫路」の解説の一部です。
「プリエ」を含む「プリエ姫路」の記事については、「プリエ姫路」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「プリエ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「プリエ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「プリエ」の関連用語

プリエのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



プリエのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのプリエ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのプリエ姫路 (改訂履歴)、化石の歌 (改訂履歴)、バレエ用語の一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS