戦前の外事警察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:13 UTC 版)
外事警察は明治時代から存在し、外事課(係)は外国人の視察取締や海外にいる日本人共産主義者の調査を行っていた。 当時は内務省警保局の保安課が外事警察活動を統括しており、国内の外国人の監視が行われたほか、日本が朝鮮を統治するようになると朝鮮独立運動の監視も任務に加えられた。外事警察は上海、ハルピン、そして亡命朝鮮人が多く住んだ間島の領事館を拠点にして在外朝鮮人コミュニティの監視にあたった。在日朝鮮人の監視は特高警察を中心に行われ、全国に住む労働者や留学生が監視された。 その後ロシア帝国が倒れソ連が成立した。これに危機感を覚えた日本側はソ連の極東戦略の調査を行う事となった。そのために結成されたのが「外事警察協議会」である。外事警察協議会には内務省のほか、陸軍、海軍や外務省の幹部も参加しており、上海、ハルピン、ウラジオストックの領事館に「内務事務官」と呼ばれる一種のインテリジェンス・オフィサーを派遣し諜報活動にあたらせた。中でもハルピンに派遣された警視庁特高課長の大久保留次郎は大きな成果を上げ、彼のもたらしたインテリジェンスは警察や軍部のほか、朝鮮総督府、関東庁、南満州鉄道にも配布された。また、調査の結果ソ連の共産主義宣伝活動が懸念されたことから、日ソの国交が再開される前後にソ連の諜報活動、積極工作に備えて外事警察の大幅な増強が行われた。 外事部門は朝鮮総督府警務局、台湾総督府警察、関東州警察、樺太庁警察部にも存在し、防諜や独立運動の監視などを行っていたとされる。 戦前の有名な諜報事件にはゾルゲ事件が挙げられる。この事件は警視庁特高第一課がアメリカ共産党の党員を逮捕した事がきっかけであったが、外国人が関わっていたことから警視庁外事課も捜査を開始した。捜査の結果リヒャルト・ゾルゲらを逮捕している。
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