性悪・性善説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 05:45 UTC 版)
プーカは、人間に害をもたらす存在とも、恩恵をもたらす存在とも伝わる。妖精学の大家トマス・カイトリーも、「プーカについての認識はじつにあやふやなものである」としており、多くを語らないが、同志のトマス・クロフトン・クローカーが、キラーニー近くの山に住む少年から採集した、次のような話を紹介している: 「年寄りの人は、プーカは昔いっぱいいたもんだ、とよく言っていました。.. プーカは性悪で、見た目が黒く、悪いモノでした。..鎖をまわりに垂れ下げた野生の若い牡馬'の姿でやってくるんです。で、うとい旅人にずいぶん悪さをするんです」 また、子供たちには、「熟れ爛れたブラックベリーはもう食べちゃだめよ、プーカがばっちくした(糞を垂らした?)実だから」、と教える風習があったという。 しかし逆にプーカが人間を手助けする伝承もあると、ジェイン・ワイルド(英語版)(オスカー・ワイルドの母親)の著作ではされており、次のような物語が所収される: ある農夫の息子パドリグ(Phadraig。パトリックのアイルランド形)が、ある日、目に見えないプーカが通り過ぎるのを感じ取り、外套(コート)をさしあげたいから、こちらにおいで、と呼びかける。プーカは若い牡牛の姿でやってきて、供物を受け取り、今晩、古びた粉ひき小屋までやって来な、といいつける。そのとき以来、プーカたちが夜中ひそかにやってきて、穀物の袋を置いておくと、いつのまにか粉に挽いておいてくれるようになった。パトリックは、最初の晩は寝てしまい、起きてからプーカの仕業に気が付いのだが、のちに、櫃の中に隠れてプーカの仕事ぶりを目にした。ある日、パトリックは、ぼろをまとうプーカが不憫になって、シルクのスーツをあつらえて置き残してやった。そうすると、思いのほか、プーカはこんな紳士の格好をしたからにゃ、少し世界を見て回らなにゃ、と言って、それ以降、仕事はせずにいなくなってしまった。しかしプーカのおかげでかなりの蓄財をした農夫は楽隠居し、パトリックは学問を修めさせ、めでたく結婚した。その式の日に、ひそかに黄金の杯を置かれてあったが、それがプーカの贈り物と何の疑いもなく飲み干すと、幸福にめぐまれたという。
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