心血管リスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 14:46 UTC 版)
卵は、人間の食事に含まれるホスファチジルコリン(レシチン)の最大の供給源の1つである。 ネイチャー誌に掲載された研究では、食事中のホスファチジルコリンが、腸内の細菌によって消化され、最終的には心臓病と関連する化合物である化合物TMAOに変換されることが示されている。 1999年のハーバード大学公衆衛生学研究では、37851人の男性と、80082人の女性が、「1日あたり最大で卵1つの消費が、健康な男性と女性の間において、CHDや脳卒中のリスクに大きな影響を及ぼす可能性は低い」との結論に達した。4000人規模の研究では、卵を食べると、その代謝産物であるアテローム性動脈硬化症の原因物質TMAOの血中濃度が上昇し、3年間の経過観察後に、心臓発作および脳卒中の危険性が有意に高まるということが、科学者らによって判明した。 2007年の約10000人規模の、成人を対象とした研究では、冠動脈疾患の危険性が高い糖尿病患者の亜集団を除いて、中程度(週6回)の卵消費と、心臓血管疾患又は脳卒中との間に、相関は見られなかった。栄養失調についての説明の1つは、通常の西洋食では、コレステロール摂取の基盤が非常に高く在るため、血中コレステロールにはほとんど影響を与えないということである。他の研究では、糖尿病患者の卵の摂取量が多いほど、心血管に至る危険性が高くなるという考えを支持している。 2009年の21000人以上を対象としたコホート研究では、「1週に6度までの卵消費は、心臓血管疾患及び死亡の危険性に大きな影響を及ぼさず、1週に7度の摂取は、総死亡率の僅かな上昇に係る危険性と関連している」と結論付けられた。糖尿病の男性では、卵消費は、全死因死亡危険性の増加と関連しており、これについては、心筋梗塞や脳卒中の危険性上昇の示唆的な証拠がある。 2013年のメタアナリシスでは、卵の消費と、心臓病や脳卒中との間に、関連性は見られなかった。 2013年の体系的な考察とメタアナリシスでは、卵消費と心臓血管疾患又は心臓血管疾患の死亡率との関連は認められなかった。しかし、2型糖尿病患者と比較して、卵消費量につき、1週に1度未満から1週に1度以上への変化があった。2013年の別のメタアナリシスでは、1週間に卵を4つ食べると、心血管疾患のリスクが6%増加することが判明した。
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