当時の世相
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『ザ・カブキ』は1986年4月16日に東京文化会館で初演され、さらに東京で2回、大阪で1回の計4回の公演が行われた。 この頃の日本では、 1984年に発表された丸谷才一の『忠臣蔵とは何か』や同年6月から『週刊朝日』に連載された森村誠一の『忠臣蔵』など、新しい「忠臣蔵」観を提唱する作品をきっかけとして「忠臣蔵ブーム」が起こっており、1985年の年末には日本テレビ系で2夜連続放映された時代劇『忠臣蔵』が高い視聴率を記録した。 『ザ・カブキ』初演を間近に控えた1986年4月12日付け朝日新聞の「時時刻表」欄は、「いまなぜか忠臣蔵」という見出しで『ザ・カブキ』の初演に触れている。 いま なぜか忠臣蔵 祭りがうける時代なのか ベジャール演出バレエ「ザ・カブキ」/ 通し公演歌舞伎座・国立劇場 / 出版界でも続々ベストセラー 今年は、忠臣蔵の当たり年らしい。舞台に、出版物に、次々と登場している。十六日夜には、東京バレエ団の「ザ・カブキ」が初演の幕を開ける(東京文化会館)。現代バレエ界の第一人者モーリス・ベジャール演出・振り付けによる、「仮名手本忠臣蔵」のバレエ化だ。ベジャール作品は、いつも世界の話題になるので、今度もベルギー国営放送テレビやフランスのルモンド紙、パリ・マッチ紙などから取材陣が来日して、初日を待っている。(以下略) — 「朝日新聞」4月12日付朝刊、『朝日新聞縮刷版1986年4月号』、461頁より引用 また、初演が行われた1986年4月中旬の日本では、4月8日にアイドルの岡田有希子が投身自殺をしたことをきっかけに、各地では後を追うように若者の自殺が相次いでいた。同時に、武士の象徴とみなされることもある桜は、東京においては4月10日に満開を迎えていた。 『ザ・カブキ』初演についてのレポートを『ル・モンド』紙に寄せたフランソワ・ヴェイエルガンスは、これらの状況とともに、初演のための総稽古を前に、東京バレエ団のダンサーたちが四十七士が祀られている高輪の泉岳寺に参拝したことを伝えている。
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