座標時尺度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/20 14:26 UTC 版)
座標時尺度(coordinate time scale)または座標時刻系(coordinate time standard)は、相対論的効果を考慮する必要のある計算における時間座標として使用するために設計された時刻系である。時間座標の選択は、参照系全体の選択を意味する。 上述したように、時間座標は、概念上、目的の対象物から無限に遠くに離れ、選択された参照系に対して静止している時計の固有時によって限定された範囲で示される。この概念上の時計は、重力井戸(英語版)の外側にあるので、重力による時間の遅れの影響を受けない。重力井戸内の物体の固有時は、それらが座標参照系に対して静止している場合であっても、座標時より遅く経過する。対象の物体ごとに、 重力および運動による時間の遅れを考慮する必要があり、その影響は、式2に示すように、参照系および重力ポテンシャルに対する速度の関数である。 天文学で使用するために国際天文学連合(IAU)によって定義された4つの座標時尺度がある。太陽系座標時(TCB)は、太陽系の重心と並進する参照系に基づいており、太陽系内の物体の運動の計算に使用するために定義されている。しかし、地球上にいる観測者から見ると、重力による時間の遅れを含む一般的な時間の遅れにより、SI秒に基づいた太陽系座標時は、地球上の時計により測定されたSI秒よりも速く経過し、約0.5秒/年の発散率を有する。 従って、多くの実用的な天文学的目的のために、歴史的な理由から呼び出されたTCBの尺度の変更が定義されている。太陽系力学時(英語版)(TDB)は、地球表面から観測された時にSI秒と等価とされる時間単位であり、少なくとも数千年の間、TDBは地球時(TT)から2ミリ秒以内にとどまる。TDBの時間単位は、上記の無限遠の距離で参照系に対して静止している仮想の観測者によって測定されたとしても、SI秒よりわずかに遅くなる(1 part in 1/LB = 1 part in 108/1.550519768) 。 地心座標時(TCG)は、地心(地球の中心)に並進する参照系に基づいており、基本的には、惑星の自転や衛星の公転のような地球上または地球の領域における現象に関する計算に使用される。 TDBと比較してTCBよりもはるかに小さいが、それに対応する理由で、地球表面から観測された時のTCGのSI秒は、地表に置かれた時計によって実現されるSI秒よりもわずかに速い。従って、地球時(TT)は、TCGのスケーリングされたバージョンとして定義されており、スケーリングは、定義されたジオイド上で単位速度がSI秒と等しいように定義されている。それでも、TCGから見るとTTのSI秒はわずかに遅い(1 part in 1/LG = 1 part in 1010/6.969290134)。
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