庁 (行政区画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/02 07:22 UTC 版)
庁(ちょう)は、中国の明と清の時代と、かつての日本で設置された行政区画の単位である。
中国の庁
明清代の庁は、新開地や特殊な地域に設けられたものがほとんどで、直隷庁・散庁・分防庁の種別があった。直隷庁は府・直隷州と等級が同じで、現在の中華人民共和国の庁局級と地級に相当し、省・道に属し、多くは県を含まない。散庁は府に属し、散州・県と等級が同じである[1]。最初に設置された庁は明の天啓年間に設置された四川の叙永庁(現在の叙永県)である。
清の内地の行政区画は次のような階層構造になっていた:
布政使司 (省・行省) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
道 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
直隷州 | 府 | 直隷庁 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
県 | 散州 | 県 | 散庁・分防庁 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
直隷庁
清の内地(東三省や新疆省は除外する)で、当時、直隷庁(省や道に直属した)は以下のような物があった:
- 直隷省(現河北省):多倫諾爾庁、独石口庁、張家口庁(この三つの直隷庁の管轄区域が互いに接していることから、「口北三庁地区」と呼ばれるようになった。多倫諾爾庁は現在内モンゴル自治区所属)
- 山西省:綏遠城庁、帰化城庁、薩拉斉庁、清水河庁、托克托庁、和林格爾庁、豊鎮庁、寧遠庁、興和庁、陶林庁、武川庁、五原庁、東勝庁(上記の庁は現在すべて内モンゴル自治区所属)
- 甘粛省:化平川庁(現在寧夏回族自治区所属)
- 江蘇省:海門庁
- 浙江省:定海庁、玉環庁
- 広東省:仏岡庁、連山庁、赤渓庁
- 広西省:百色庁、上思庁
- 湖北省:鶴峰庁
- 湖南省:乾州庁、鳳凰庁、永綏庁、晃州庁、南州庁
- 四川省:理番庁、石砫庁、松潘庁
- 雲南省:永北庁、蒙化庁、鎮沅庁、鎮辺庁
- 貴州省:松桃庁
散庁
清の統治は200年以上に及び、内地の各地方の行政区画には常に変動ががあり、以上の直隷庁の資料は必ずしも完全なものではない。しかし、上開名簿に載っていない庁なら、府・直隷州の管轄に属する散庁である可能性が高い。
例:
陝西省
四川省
湖北省
江西省
江蘇省
福建省
いずれも散庁級に属する。
分防庁
分防庁、散庁の両長官はいずれも知府の下に属しているが、分防庁は徴税、治安維持、食糧運送、通信、異民族対策、海防などを専従しており、散庁のような行政区域を持っていない。
たとえば:
福建省
広東省
日本の庁
日本はかつて北海道に北海道庁を設置したことがある。これは現在の北海道の行政庁である北海道庁とは別である。また、樺太島には樺太庁を設置していた。また、台湾にも庁制度があり、第2次世界大戦後の琉球諸島には地方庁が設置された。現在の日本では「庁」は行政区画としては使われていない。「支庁」はあるが、これは都道府県の出先機関である(北海道の支庁は2010年に振興局に改組された)。
なお、日本では都道府県の政庁を庁と呼ぶが、中国では政府の語を用いるので、たとえば「県庁」は中国語では「県政府」となる。
かつて存在した庁としては以下のような物がある。
参考文献
「庁 (行政区画)」の例文・使い方・用例・文例
- 無名の建築家が新市庁舎設計の依頼を受けた
- 軍が空港と官庁ビルを制圧した
- 警視庁長官から出された声明
- 県庁,府庁
- 彼はその問題を環境庁に委ねた
- 県庁所在地
- その市庁舎は敵の軍隊の銃撃で大きく破壊された
- その教会は市庁舎からわずかの距離だった
- 竜巻の動きについて気象庁からの情報はない
- ホールで消防庁の音楽隊のコンサートが昼休みに行われる
- ここは繁華街や官庁街が至近でビジネスに最適だ
- 津波被害を長く記憶に留めるため、壊れた市庁舎は保存されるべきだ。
- 特許庁長官意見照会
- 相続税における財産評価方法は、国税庁の財産評価基本通達で決められている。
- 金融庁は人々の安易な外国為替証拠金取引について警告を発している。
- 先週、東京地方検察庁は東京地方裁判所に公判請求を提出した。
- 行政官庁は行政不服審査請求の受理を拒むことはできない。
- 産業連関表は内閣府、総務省、経済産業省をはじめとする各省庁共同で、5年ごとに作成される。
- 日本の官公庁では1月4日を仕事始めとしている。
- 金融庁は主要銀行の資産査定を厳しくした。
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