平成8年の法改正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 06:54 UTC 版)
「文化遺産保護制度」の記事における「平成8年の法改正」の解説
1970年代から1980年代にかけて、農村漁村の過疎化と高齢化が進み、伝統的な民俗芸能や伝統行事が消滅する危機が増大した。一方で、文化に対する国民の関心も高まり、地域の文化遺産を活かした町づくり・村おこしといった文化遺産の活用の試みも着目されるようになった。幕末から第二次世界大戦期までの日本の近代化に貢献した産業・交通・土木に係る文化遺産についても、消滅や散逸の危機が認識されるようになったため、文化庁ではこれらを近代化遺産として位置づけ実態調査を行った。また、1992年(平成4年)に日本が世界遺産条約を批准したことで、近代の遺跡である原爆ドームを世界遺産へ推薦する運動が起こり、1995年(平成7年)に史跡の指定基準が改正された。原爆ドームは同年中に国の史跡に指定され、世界遺産へ推薦された。 1996年(平成8年)の法改正では、建造物に関する登録有形文化財の制度の導入、指定都市等への権限の委任及び市町付の役割の明確化、重要文化財等の活用の促進が盛り込まれた。登録制度は、主に近代の建造物の保護を目的として、指定制度を補完する制度として導入されたものである。建造物のうち指定物件以外のもので保存及び活用が必要とされるものを文部大臣が文化財登録原簿に登録するもので、指定文化財が現状変更について許可制を取るのに対し、届出制と指導・助言・勧告を基本とするなど、緩やかな保護制度である点に特色がある。
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