市街化調整区域における立地基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 14:12 UTC 版)
「開発許可制度」の記事における「市街化調整区域における立地基準」の解説
法第34条は、無秩序な市街化を防止し、農地や山林を保護するために設定される市街化調整区域において、開発行為を立地面から規制するために設けられた規定である。具体的には、申請に係る開発行為が以下のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事等は開発許可をしてはならないとされ、市街化調整区域で立地できるものが限定されている。この規定により、区域区分制度(線引き制度)が担保されているといえる。 法第34条各号 開発区域周辺の地域に居住している者の日用品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物に関する開発行為 市街化調整区域内の鉱物資源や観光資源の有効な利用上必要な建築物等に関する開発行為 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とするため、市街化区域内に立地することが困難なものに関する開発行為(政令が未制定のため、適用されない) 農林漁業用の建築物で、法第29条第1項第2号で許可不要とされていない建築物または市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理・貯蔵・加工に必要な建築物等に関する開発行為 「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」に基づく、農林業等活性化基盤施設に関する開発行為 都道府県が国又は中小企業基盤整備機構と一体となって助成する、中小企業者が行う他の事業者との連携若しくは事業の共同化等に寄与する事業のために行う開発行為 市街化調整区域内にある工場施設における事業と密接な関連を有する事業のための建築物等で、事業効率化を図るため市街化調整区域内に立地することが必要な建築物等に関する開発行為 危険物の貯蔵又は処理に供する建築物又は第一種特定工作物(火薬類取締法に定める火薬類の貯蔵施設をさす)で、市街化区域内に立地することが不適当なものに関する開発行為 上記のほか、市街化区域内に立地することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物等(ドライブイン、ガソリンスタンドなどのいわゆる「沿道サービス施設」)に関する開発行為 地区計画又は集落地区計画の区域内において、当該地区計画又は集落地区計画に定められた内容に適合する建築物等に関する開発行為 市街化区域に隣接又は近接し、市街化区域と一体的な日常生活圏を構成する地域で、約50以上の建築物が連たんしている地域のうち、都道府県などの条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの 市街化調整区域が決定・変更された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、決定又は変更の日から6ヶ月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事等に届け出て、当該目的に従い5年以内に行う開発行為 上記のほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為 なお、列挙されているもの(市街化調整区域で開発許可が取得できるもの)の内容は、以下のとおり整理できる。 区域区分による立地規制趣旨を鑑みても、立地を認める必要性があるもの当該地域で生活する住民のための施設など、区域区分に係わらず普遍的に必要なもの(第号や8第号など) 市街化区域に立地すべきでないもの(第7号など) 立地場所を市街化区域に限定すべきでないもの(第2号や第4号など) スプロール対策上、支障がないと認められるもの(第8号の2~4など。区域区分による市街化調整区域の規制趣旨から導かれる) 開発審査会の議を経て許可する開発行為 第34条の立地基準の理念は、同条第14号(開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為)の規定に集約されている。第34条では、計画的な市街化を図るうえで支障のないものや立地を認めることがやむを得ないものが限定列挙されているのは前述のとおりであるが、これは第14号の考え方、つまり立地基準の理念に合致するものを類型化し、列挙しているものである。これらの要件に該当しないものであっても、理念に合致するものはその立地が認められるべきであり、そのような案件を個別に審査して認めるのが第14号の規定である。 なお、第14号の要件は裁量色が強いことから、適用にあたっては第三者機関である開発審査会の議を経ることとなっている。開発審査会の意見は法的拘束力を持たないが、最大限尊重される(開発審査会の詳細については後述)。
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