屋外用ごみ箱の減少
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 10:16 UTC 版)
屋外にごみ箱を設置すると、周辺がごみで汚れるため管理が難しい。また分別収集に対応するためには複数個のごみ箱を設置する必要があるが、それだけのスペース管理もコストがかさむ。場合によっては自動車利用者も含め不特定多数が利用する事から、きちんと分別しない事もあり、そういった多々の理由によって対応できていない場合がほとんどである。 分別ごみに比べて分別されていないごみの処理費用は高いため、行政・民間ともに設置を嫌がって撤去する傾向にある。また資源ゴミなどとの分別もされない場合はゴミ総量も増加する。そういった、コストやごみ減量の観点から屋外設置のごみ箱は年々減少傾向にある。その結果、設置されているごみ箱にごみが集中してしまい、あふれてしまうごみ箱が増えている。あふれたごみ箱の周辺にはポイ捨てが多くなるため、管理を諦めて撤去されることにより減少傾向はさらに加速している。テロ対策のため、その傾向はさらに加速し、分別ごみ箱を大量に設置していた鉄道事業者においてもプラットホーム上のごみ箱が撤去されてきている。2010年現在では、鉄道会社の各社局によってごみ箱の設置状況は様々であるが、JRなどでは透明で中身が確認しやすいごみ箱を開発し、駅員の目が届きやすい範囲において再設置している。東京メトロでは、営団地下鉄時代に発生した地下鉄サリン事件を教訓とし、ホーム上のゴミ箱を完全に撤去し、現在ではごみ箱設置場所を改札付近のみとしている。また天皇・皇后の行幸時や、海外の要人来日時はコインロッカーと共に撤去または封印して使用禁止にされる。 ごみ箱の設置は国によって法律で定められているが、現状ではコンビニエンスストアや鉄道事業者などの民間企業に、市町村が頼っている状況にある。市町村によってはペットボトルをごみ収集において回収せず、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに設置された回収用ごみ箱に入れることを求めている。このように、企業が設置しているごみ箱は行政システムの一部となっている。 使い捨て容器を利用した商品がある限り、ごみを屋外で捨てたいというニーズも存在する。現在ではごみ箱の設置者もしくはポイ捨てされたごみの清掃者がごみの処理費用を負担しているが、上記のようにごみ処理費用の押し付け合いが行われてしまっているのが現状である。使い捨て商品を利用しない市民が、使い捨て商品のごみ処理費用を納税を通じて支払っているとも考えられる。そのため、サービスを提供する企業側、もしくはサービスを受ける消費者が処理費用を負担することを望む声も多い。このような背景の下、容器包装リサイクル法の改正運動や、企業側の社会的責任を求める運動が行われている。
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