小笠原TSL
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 15:07 UTC 版)
「テクノスーパーライナー」の記事における「小笠原TSL」の解説
SUPER LINER OGASAWARA鳴門海峡にて(2011年5月撮影) 船型空気圧力式複合支持船型(TSL-A型) 全長約140メートル (m) 全幅29.80 m 深さ10.50 m 喫水 オフクッション5.00 m オンクッション2.40 m 総トン数約14,500トン 船速38ノット 主機関LM2500+(40500SHP)×2基 浮上機関ニイガタ16V20FXディーゼル機関×4基 推進装置ウォータージェット×2基 旅客定員742名 貨物積載重量210トン 建造造船所三井造船(現・三井E&S造船) 玉野事業所 運航会社小笠原海運 実用船の1隻目は、先に実験船「飛翔」にてデータを検証し建造されたTSL-A型船で、海上での速度は40ノット近い時速約70kmの航行を可能としており、アルミ合金製としては世界最大級の超高速貨客船として運航される予定であった。船名は一般から公募し、東京都知事石原慎太郎の典子夫人により、「SUPER LINER OGASAWARA」(スーパーライナーオガサワラ)と命名された。海上試運転では42.8ノットを記録した。 当初の運航は東京 - 小笠原航路が予定され、片道約25.5時間かかるところを約16.5時間に短縮し便数も年間92往復に増やすことができるなどのメリットがあるとされたが、契約後建造中の2005年に原油価格高騰の影響をうけ、軽油を使用するTSLは一度の往復にかかる費用が2,500万円近くとなることが判明したことから、支援を予定していた東京都が撤退して国土交通省も撤退した。 運航会社の小笠原海運は、公的な支援を受けられない場合は運航しても半年で会社が倒産するとして、TSLの受け取りを拒否した。TSLを保有するテクノ・シーウェイズは、小笠原海運に対し契約不履行による損害賠償を求め提訴したが、小笠原海運側はTSLはコストが高いため国の支援が受けられなければ経営が成立しないことは最初から国土交通省は承知していたはずであるとして全面的に争った。判決では、公的支援なくして船舶の引渡しは不可能であったことを認めたうえで、小笠原海運に20億円の支払いを命じている。 TSLの運航により時間短縮および増便を成すことから本土との往来が活発になることが期待され、東京都や国土交通省も利用者が増加するとの資料をもとに説明し、宿泊施設の増設など島側の受け入れ態勢を整えるよう求めたが、就航が白紙になったことから島側には施設増設などの経済的負担だけが残る結果になった。同船は、運用予定がないまま宙に浮いた形となり、デモンストレーションや災害支援(後述)などを除き、建造所で岡山県玉野市に位置する三井造船(現・三井E&S造船)玉野事業所に繋留されたままとなった。
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