小山富士夫とは? わかりやすく解説

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小山富士夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 13:41 UTC 版)

小山 富士夫(こやま ふじお、1900年3月24日 - 1975年10月7日)は、日本陶磁器研究者・陶芸家。中国陶磁器研究の大家。

来歴

1900年明治33年)3月24日、岡山県玉島市に生まれ、東京府立第一中学(現・日比谷高校)から東京商科大学(現・一橋大学)に入学したが、1923年大正12年)、中途退学、25歳の時に近衛歩兵隊の同期に岡部(小林)長世(岸和田藩主の子孫で国立近代館長・岡部長景子爵の弟)がおり、その影響で古陶磁研究へすすみ、1930年頃、留学中の郭沫若と親交を結び、1935年代に中国諸地方の古窯址を踏査、中でも1941年(昭和16年)定窯古窯址を発見した意義は大きかった[1]1943年(昭和18年)12月、『支那青磁史稿』を発表して高い評価を受ける[1]。戦後は、東京国立博物館調査員、文化財保護委員会調査官として陶磁工芸の調査と文化財指定、各種陶磁全集の編集・評論に活躍し、1954年(昭和29年)の『東洋古陶磁』全6巻(美術出版社)は世界数ヶ国語に訳出されたほか、1960年(昭和35年)3月には第10回文部大臣賞芸術選奨を受けた[1]。しかし同年秋、永仁の壺事件が起こり、翌年に文化財保護委員会事務局を辞任した[1]。毎年、神奈川県立近代美術館における陶磁器展の企画をはじめ、多くの陶磁器展に参画し、根津美術館嘱託、神奈川県文化財専門委員、出光美術館顧問、日本工芸会副理事長などを歴任した[1]1973年(昭和48年)岐阜県土岐市に築窯して作陶生活に入るも、1975年(昭和50年)10月7日、心筋障害のため、自宅にて死去、享年75歳[1]。墓所は多磨霊園(5-1-1-5)。

主な著書

  • 薩摩焼の研究 田沢金吾共著 東洋陶磁研究所、1941年(復刻版:国書刊行会 1987年)
  • 支那青磁史稿(文中堂、1943年)
  • 宋磁(聚楽社、1943年)
  • やきものの旅 中国・台湾(芸艸堂、1971年、再版1980年)
  • 骨董百話(新潮社、1977年)- 遺著・大著
  • 小山富士夫著作集(朝日新聞社(上中下)、1977-79年)
    上巻:中国の陶磁、中巻:日本の陶磁、下巻:朝鮮の陶磁ほか
  • 徳利と酒盃・漁陶紀行 小山富士夫随筆集(講談社文芸文庫、2006年)
編著
  • 日本美術大系 6 陶芸(講談社、1960年)
  • 中国名陶百選(日本経済新聞社、1960年)、大著
  • 東洋古陶磁(美術出版社、1961年)、大著
  • 日本名陶百選(日本経済新聞社、1962年)、大著
  • 日本の陶磁(中央公論美術出版 1962年、改訂版1969年、1985年) 
  • 日本陶磁の伝統(淡交社、1967年)、大著
  • 日本陶磁総覧 (淡交社、1969年)
  • 日本の美術76 三彩(至文堂、1972年9月号)、小著
  • 「図説茶道大系5 茶の美術と工芸」野間清六共編、角川書店、1974年
  • 「陶磁大系38 天目」(平凡社)、同シリーズは全48冊
  • 「陶磁大系36 青磁」(平凡社)。他にも多くの企画に関わった

作家論・作品図録

  • 「小山富士夫の世界」里文出版、1981年 - ※47名による追悼文集
  • 浅野博行「笑って答えず 評伝・小山冨士夫」里文出版、2021年
  • 「目の眼 特集 生誕100年 小山冨士夫の人と作陶」2001年1月号、里文出版
  • 「図録 小山冨士夫陶芸展」高島屋、日本経済新聞社ほか、1983年
  • 「図録 陶の詩人 小山冨士夫の眼と技」朝日新聞社ほか、2003年
  • 「図録 特別展小山冨士夫 陶に生きる」岡山県立美術館、2001年
  • 「炎芸術 特集 やきもの賛歌 陶芸家小山富士夫」(季刊85号) 阿部出版、2006年2月

脚注

  1. ^ a b c d e f 小山冨士夫 :: 東文研アーカイブデータベース”. www.tobunken.go.jp. 2020年10月29日閲覧。

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