将来的な検出の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 07:22 UTC 版)
「原始ブラックホール」の記事における「将来的な検出の試み」の解説
将来的には、様々な観測によって原始ブラックホールに対する新たな制限が与えられると考えられている。 電波望遠鏡 SKA では、宇宙の再電離の歴史における原始ブラックホールの影響が探査される予定である。探査の主な対象は、原始ブラックホールへの物質の降着によって引き起こされる銀河間物質へのエネルギー注入による影響である。 LIGOとVirgo、および将来の地上重力波検出器で新しいブラックホール合体イベントを検出し、そこから原始ブラックホールの質量分布を復元することが可能と考えられている。もし1.4太陽質量未満のブラックホールに起因する合体イベントが検出された場合、これらの検出器は原始ブラックホールか恒星起源のブラックホールかを明確に識別することが可能である。別の手段は、原始ブラックホール連星の大きな軌道離心率を測定するというものである。 LISA やパルサータイミングアレイのような重力波検出装置では、原始ブラックホール連星がまだお互いに比較的離れた位置を公転している際に放出される、重力波の確率的背景も探査する予定となっている。 新しい暗い矮小銀河の検出とその中心の星団の観測は、これらの天体のダークマター主体の構造が原始ブラックホールを大量に含んでいるとする仮説を検証するのに用いる事ができる。 銀河系内の恒星の位置と速度のモニタリングから、近傍にある原始ブラックホールによる影響を検出することができる。 地球を通過する原始ブラックホールは、検出可能な音響シグナルを生成する可能性が示唆されている。原始ブラックホールは直径が小さく、核子に比べて質量が大きく、比較的高速であるため、このような原始ブラックホールは核子にわずかな影響を与えるのみで、ほとんど邪魔されずに地球を通過するだけで、悪影響を与えずに地球を去ると考えられる。 原始ブラックホールを検出する別の方法は、恒星の表面のさざ波を監視することである。ブラックホールが恒星を通過した場合、恒星の密度に観測可能な振動を引き起こす。 マイクロ波の波長でのクエーサーのモニタリングと、重力マイクロレンズの波動光学の特徴の検出から原始ブラックホールを探ることが出来ると考えられている。
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