家屋内の便所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 15:02 UTC 版)
タイ王国にハイタンク式水洗便所が最初に普及したのは、1917年から1947年ごろであり、宮殿や、教育を受けたり、海外で暮らしたりした者のいる所得の高い家でまず導入された。しかしまだ庶民には普及していなかった。次に一般家庭に水洗トイレの設置が増えるのは第二次世界大戦後であり、新しい近代的家屋の建設が行われるようになって、水洗便所が好まれ、次第に設置が進んでいった。 タイ政府においても国民に水洗便所もしくはコーハーン式便所の設置を行い、家庭内で使用することを推奨し、1942年ごろから積極的に普及させていった。さらに1960年には、米国の団体USOMの支援を受けて政府が地方衛生衛生改善計画を開始した この計画では特に便所の建設と国民の便所使用への意識改革が重要な事業になった。 第七次公衆衛生計画(1991年-1996年)において、衛生局は便所の様式を今まで使用されてきた浸透槽便所(スワム・スム:ส้วมซึม)から、腐敗槽便所へ変更することを推奨している。公衆衛生基準に拠ると、浸透槽はレンガもしくはコンクリート缶を地面に埋設して作り、液体が地面に浸透できるようになっている。固形の汚物は槽下部に溜まり、分解されて養分となり、さらに便所から液体物と一緒に地面に浸透してゆくことで、地面に還元される。水の浸透を利用するためにこの種の便所は「浸透式便所」と呼ばれている。他方、腐敗式便所は汚物を貯める槽を地下に埋設し、固形と液体の汚物を分離させながら、生分解を起こさせる。この間、腐敗槽内の物質は槽の外環境との間で浸透が起こらないように保護される。下水は槽の中に貯められ、固形汚物の沈殿、一連の分解過程が終了した後、浄化された下水のみを管を使って外環境へ放出する。 タイ国家統計局のデータによると、2007年の一般世帯内の便所使用に関する調査で、調査全世帯の87.3%で浸透槽便所が利用され、8.5%がハイタンク式水洗便所、その他が4.2%という結果になっている。
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