実体が明らかな種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:01 UTC 版)
Sparassis crispa (Wulfen) Fr. 属のタイプ種である。子実体を構成する裂片は著しく縮れ、環紋を生じることはなく、縁は全縁で鋸歯を生じない。柄は不規則に細かく分岐 し、個々の枝先が裂片となる。シスチジアはなく、菌糸には多数のかすがい連結を備えている。宿主は常に針葉樹である。ヨーロッパと北アメリカ東部に分布するが、日本を含むアジア地域における分布状況は不明である。また、北アメリカの一部の地域(米国マサチューセッツ州およびジョージア州など)には、外観ではS. radicata と区別しがたいものの、分子系統学解析の結果は大きく異なる未知の種が分布するという が、まだ正式記載はなされていない。 Sparassis cystidiosa Desjardin and Zheng Wang 2004年にタイ産の標本をもとに記載された。胞子を形成する子実層に、多数のシスチジアが混在する点で特徴づけられる。また、菌糸には多数のかすがい連結がある。宿主がブナ科の広葉樹に限られる点で、ハナビラタケ属の菌としては異色な種 であり、分子系統学的解析の結果からは、Sparassis 属の中でも祖先型に位置する種であろうと推定されている。 Sparassis miniensis Blanco-Dios & Zheng Wang, スペインから見出された菌で、子実体の個々の裂片は比較的大きく、ほとんど縮れずに多少へら状をなし、その縁は細かく裂けて鶏冠状を呈する。シスチジアはなく、子実下層(しじつかそう subhymenium)の菌糸には少数のかすがい連結があるが、肉の菌糸にはこれを欠き、胞子はS. crispa やS. latifolia のそれよりもやや大形である。フランスカイガンショウの林内で採集されるという。 Sparassis spathulata (Schwein.) Fr. 子実体を構成する個々の裂片がほとんど縮れずに大きなへら状をなし、その表面にしばしば不明瞭な年輪状の環紋(かんもん Zonation)を生じることや、シスチジアを欠き、菌糸にかすがい連結がないこと、培養しても厚壁胞子を形成しないことなどを特徴とする。北アメリカ南東部に分布する。宿主は、通常は針葉樹であるが、まれにブナ科の広葉樹から発生することもあるという。なおタイプ標本は、米国ノースカロライナ州産のものである。 Sparassis radicata Weir 日本産のものに非常によく似ているが、胞子が僅かに小さく、子実体を構成する個々の裂片の縁は滑らかで、鋸歯状の切れ込みを生じない。また、柄を有する場合、細かく分岐することなく円筒状をなし、ほとんど地中に埋没しており、個々の裂片は基部で互いに合着している。シスチジアはなく、子実体の菌糸にはひんぱんにかすがい連結がみられる。麦芽エキス寒天培地などを用いて容易に培養することが可能で、培養下では日本産のハナビラタケのものによく似た厚壁胞子を形成する性質がある。培養菌糸体の生育至適温度は23-25℃であり、40℃で死滅するとされる。なお、交配様式はヘテロタリックであり、一対の不和合性因子に支配された二極性を示す。北アメリカの西部地域に分布し、宿主は針葉樹に限定される。タイプ標本は、米国アイダホ州において、地上に露出したベイマツの太い根の上に発生していたものであるという。
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