宇宙ロケットとの違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 02:02 UTC 版)
「弾道ミサイル」の記事における「宇宙ロケットとの違い」の解説
長射程の弾道ミサイルと宇宙ロケットとの基本的な構造の差は少ない。大雑把に言えば、大射程の弾道ミサイルから弾頭を外し、代わりに小規模な上段ロケットを追加すれば衛星打上能力を獲得しうる。世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたR-7はSS-6の改良型であり、アメリカ初の人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げたジュノー1はレッドストーンの改良型である。また、今日においてもロシアのロコットやアメリカのミノタウロスIVなど、現役を退いた弾道ミサイルを改修して衛星打ち上げに転用するケースは珍しくない。 しかし、平時に商業目的で打ち上げられる宇宙ロケットには弾道ミサイルのような即応性は求められず、前述の弾道ミサイル転用タイプを除けば安価で毒性が無い液体水素や液体酸素などが用いられている。これらはロケットへの充填に長い時間が必要であり、敵の先制攻撃への対応能力が無きに等しくなるため兵器としての使用は殆ど不可能である。これに対し、サイロや車両、艦船など限られた保守体制であっても発射可能な状態で保管しなければならない弾道ミサイルは、経済性や安全性に目を瞑って猛毒だが常温保管可能な推進剤を選択したり、推進効率が落ちても固体燃料を選択する事になる。宇宙ロケットにも固体燃料を使うものはあるが、打ち上げスケジュールに合わせて経済性を優先して生産される。経済性や効率を無視してでも安定して長期間の保管が要求される軍用のミサイルとは成分製法価格に違いがある。 双方に求められる性能も、宇宙ロケットは比推力や経済性や信頼性であるのに対し、弾道ミサイルは即応性やメンテナンスの容易さなどとなる。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}いったん採用されれば数百基単位で生産しつつも基本的に発射されず、また、不具合があっても同じ目標に予備を撃てばいいミサイル[要出典]と、年に数機の建造ながら確実な打ち上げを求められ、さらに有人ミッションであれば要求される安全係数が跳ね上がる宇宙ロケットは積荷の値段の差がある。
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