太陽の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 06:31 UTC 版)
「恒星進化論」および「太陽系の形成と進化」も参照 太陽は、水素をヘリウムに転換する熱核融合反応をエネルギー源としている。この核反応プロセス(陽子-陽子連鎖反応)は太陽の中心核領域で起こっている。太陽核では対流は起こらず、核融合で生じたヘリウムは太陽全体に拡散することなく、中心核に蓄積される。太陽核の温度は、トリプルアルファ反応と呼ばれるヘリウム原子による核融合反応が起こるには低温すぎるため、これらのヘリウム原子は太陽の静水圧平衡を維持するのに必要なエネルギー総発生量に寄与しない。 現在までに太陽の中心核にある水素のほぼ半分が消費されており、残った原子は主としてヘリウムで占められている。単位質量あたりの水素原子数が減少すると、水素の核融合反応で発生するエネルギー出力も減少する。これにより中心核の圧力が減少し、中心核の収縮が始まる。密度と温度の上昇により、中心核の圧力が、より上層の物質からの重力と平衡するまで収縮は続く。温度の上昇は残存する水素の核融合反応効率を増加させ、この平衡を維持するのに必要なエネルギーが発生する。 この一連のプロセスは、太陽のエネルギー出力を絶え間なく増加させる。主系列星になった当初、太陽の光度は現在の70パーセントに過ぎなかった。太陽光度は1億1000万年につき1パーセントのペースで、ほぼ直線的に増加してきている。同様に、30億年後の太陽光度は現在よりも33パーセント増加することが予想される。50億年後には中心核の水素が遂に使い果たされ、太陽光度は現在よりも67パーセント増加する。その後は中心核の周囲の殻で水素の核融合プロセスが継続される。このプロセスは太陽が現在よりも121パーセント光度を増すまで続き、その時点で太陽は主系列星としての一生を終える。太陽はその後、準巨星段階を経て赤色巨星に進化することになる。 中心核の水素がなくなる時期には、天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突が始まっている可能性が高い。銀河同士の衝突は、太陽系を新しく形成される銀河からはじき出す可能性があるものの、太陽と太陽系の惑星に悪影響を与える可能性は低いと考えられている。
※この「太陽の進化」の解説は、「地球の未来」の解説の一部です。
「太陽の進化」を含む「地球の未来」の記事については、「地球の未来」の概要を参照ください。
- 太陽の進化のページへのリンク