悪影響を与える可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 07:56 UTC 版)
「エニアグラム」の記事における「悪影響を与える可能性」の解説
理辺良保行は、アメリカ人より日本人は自我が弱いため、自分のタイプが分かりにくいかもしれず、また、一定以上に自我構造が弱い人、自我の成熟度が低い人が利用するのは不適切であり、ファシリテーターがカルトのように精神的に弱い人を取り込んだり、自分の自我を生徒に押し付けてつぶしてしまわないよう、その指導が問われると述べている。ヘレン・パーマーは「エニアグラムの問題は、それが優れていること」であり、うまく使えばよく知らない人の性格も言い当てられるため、悪用し霊能者を装った人がいたと語っている。 ラス・ハドソンは、エニアグラムは「われわれがよりいっそう『いまここ』に在り、体験していることや本来の白分を、より深い次元において認識する手助けをしてくれる手段」であるとみなしており、この種の深い志向性を欠いていると、エニアグラムを学ぶこと自体が目的化し、自己防衛のため、自分や他者をコントロールするため、白己愛を満たすため、偏った自我を存続させるために、「自我」が学んだ情報を都合よく利用するといったことが起こりかねないと語っている。エニアグラムの学び始めた最初は、おもちゃで遊ぶように学ぶことに夢中になってしまいがちなので、こうしたことはある程度は避けられないという。 吉福伸逸は、本人が自分で自分の有様を見つけなければ意味がなく、その確認作業の役には立つだろうが、タイポロジーに囚われると取り込まれてしまうと、難しさを指摘している。 目の前の人間をカテゴライズし、わかった気になるという弊害もある。ヘレン・パーマーは、西洋人はカテゴライズにより情報量を絞り、原因を知り結果を予測することに毒されており、また未知のものと接する緊張感を緩和したいと望んでいるため、どうしても相手を9つのタイプに当てはめたくなると述べている。心理学者のロバート・フレイガーは、エニアグラムを学ぶ人にとって最大の危険は、数字の背後に人間がいることを忘れ、単純化しすぎ、周りの人をステレオタイプ化しやすくなることだと警告し、「常にすべての人について正しい人格理論はない」と語った。 懐疑論者のパトリック・バーメレンは、エニアグラムが人事に影響を与えていることについて、人事担当者は誠実さと尊厳をもって業務を遂行すべきで、迷信やスピリチュアルな疑似科学を使うべきではなく、道徳的観点から早急に利用をやめるべきだと批判している。
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