天敵導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 00:54 UTC 版)
ジャワマングース(アラビアから東南アジア原産)は、ハワイや西インド諸島ではネズミ駆除を目的に、沖縄本島や奄美大島では猛毒をもつハブの駆除を目的として導入されたが、効果を上げるどころか生態系や農業に悪影響を与えてしまい失敗に終わった。 「蚊を絶やす」という和名をもつカダヤシ(アメリカ中南部原産)はボウフラの駆除を狙って日本各地に導入されたが、生息環境が類似するメダカを駆逐してしまい「メダカダヤシ」と揶揄されるまでになってしまった。 外来種対策としてその対象外来種の原産地における天敵である別の外来種を導入することがある。最も古い事例では、1868年頃のアメリカで猛威を振るっていたオーストラリアから侵入したワタフキカイガラムシの天敵であるベダリアテントウを同じくオーストラリアから持ち込んで、被害の低減に成功している。一方で、食用目的で持ち込まれたものの広東住血線虫症などの病気を媒介するため放棄された アフリカマイマイ(東アフリカ原産)を駆除する目的で、ヤマヒタチオビ(アメリカ原産)という肉食性巻貝が世界の島々に導入されたが、固有の陸生巻貝を捕食してしまい問題となった。さらに、肉食性のニューギニアヤリガタリクウズムシ(ニューギニア原産)も同じ目的で導入され、アフリカマイマイやヤマヒタチオビを襲ったものの、この生物もやはり島の在来巻貝を脅かし、負の連鎖が続いている。 オーストラリアでウサギ狩りのために大量にはなったウサギが大増殖して農業に大打撃を与えたほか食害による砂漠化が進んで畜産にも影響が出る事態となったため、対策としてネコやキツネなどを放っている。だが、ウサギの繁殖能力に追いつかずにほとんど効果がなかったばかりでなく、在来の有袋類を脅かす存在になっている。 ベトナム、タイなどでは害虫駆除としてヒキガエルが導入されている。これが在来のカエルを脅かしているのはもちろんのこと、同地方ではカエル食の文化があるため、ヒキガエルの毒による食中毒が後を絶たず、問題になっている。
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