ハリエニシダとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ハリエニシダの意味・解説 

ハリエニシダ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 23:39 UTC 版)

ハリエニシダ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: エニシダ連 Genisteae
: ハリエニシダ属 Ulex
: ハリエニシダ U. europaeus
学名
Ulex europaeus L. (1753)[1]
英名
Common gorse
ハリエニシダ Ulex europaeus

ハリエニシダ(針金雀児; Ulex europaeus)は、マメ科マメ亜科ハリエニシダ属に分類される植物の一種。西ヨーロッパイタリア原産であるが、広く移入され、日本にも外来種として定着している。


リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである[2]

名称

ハリエニシダという和名は、比較的近縁といわれる[3]エニシダに似ており、針のような棘があることから名付けられている。英語の一般名はゴース (gorse) であるが、ファーズ (furze) とも呼ばれる[4]

属名の Ulex は、ラテン語の古名「ulex(棘のある常緑の低木)」により、種小名の europaeus は「ヨーロッパの」の意である。

分布

西ヨーロッパからイタリアが原産地となる[5]

また、スペインポーランドオーストラリアニュージーランドアメリカカナダコスタリカペルーウルグアイ、日本、中国インドネシアスリランカなど世界各地に移入分布している[5]イギリスでは主として西部に分布しており、その土地ではゴースと呼ばれるのに対し、東部に分布する Ulex minor はファーズと呼ばれる[6]

特徴

枝先につく黄色い花
(ニュージーランド)

高さ1.0-2.5mほどの常緑低木[7]。枝には緑色のするどい刺があり、幼時には3-5小葉を持つが、生長により葉も刺と化している。花期は初春と秋で、2.0-2.5cmの蝶形となる黄色い花を咲かせる[5]。種子はアリによって運ばれる。

牧草地、低木林、樹園地、海岸、荒地、水路、湿地などの日当たりのよい場所に生育する[5]

外来種

繁殖力の強さと駆除の難しさから、2000年に IUCN (国際自然保護連合)種の保存委員会 (Species Survival Commission: SSC) [8]世界の侵略的外来種ワースト100に選定している。また、日本では外来生物法によって要注意外来生物に指定されている。

牧草地に侵入すると長い刺によって家畜が傷つけられてしまう[7]。刺があるため手作業で抜き取るのは困難である。こうした刺の存在が、本種が侵略的な外来種といわれる理由のひとつでもある。火入れや除草剤による駆除も試行されているが、埋土種子や根からの繁殖力が非常に高いため、簡単には根絶できない[9]ヤギを用いた天敵導入が有効であるが、ヤギ自体が侵略的な外来種ともなりうるため、扱いには注意を要する[9]

オーストラリア

オーストラリアでは、放牧用の垣根に利用する目的で導入したものが野生化した[9]

日本

日本では観賞用に導入され、1886年に東京の小石川植物園で栽培されていた記録がある[5]。最初の野外への定着は、1950年の横浜市に認められ、今では本州神奈川県和歌山県島根県)や四国に拡大している[5][7]

文化

ハリエニシダは、イギリスの昔話の『三匹の子豚The Three Little Pigs に描写されており、二番目の子豚が建てた家はハリエニシダ (furze) で作られている(木の家〈wood house〉とするものもある)。また、児童文学の『クマのプーさんWinnie-the-Pooh (1926) では、蜂蜜を取ろうと登った木の枝が折れ、ハリエニシダの灌木 (gorse-bush) に落ちて棘だらけになる場面が描かれている[4]

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ulex europaeus L. ハリエニシダ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月9日閲覧。
  2. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 741. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358762 
  3. ^ スコットランドのハリエニシダ”. 岡山理科大学 植物生態研究室. 2015年6月20日閲覧。
  4. ^ a b 梶原裕二「ヒースやゴース; イギリスの荒れ地を被う植物」(PDF)『フォーラム理科教育』第4号、京都教育大学理学科、2002年、36-39頁。 
  5. ^ a b c d e f ハリエニシダ”. 侵入生物データベース. 国立環境研究所. 2015年6月20日閲覧。
  6. ^ 辻井達一 2006, p. 93.
  7. ^ a b c ハリエニシダ”. 外来植物図鑑. 農業環境技術研究所. 2015年6月20日閲覧。
  8. ^ 種の保存委員会(Species Survival Commission:SSC)”. IUCNとは. IUCN日本委員会. 2015年6月20日閲覧。
  9. ^ a b c 自然環境研究センター編著 著、多紀保彦監修 編『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 

参考文献

外部リンク


「ハリエニシダ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハリエニシダ」の関連用語

ハリエニシダのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハリエニシダのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハリエニシダ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS