外交談判法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:08 UTC 版)
「フランソワ・ド・カリエール」の記事における「外交談判法」の解説
『外交談判法』の特徴は次の3点にある。 常駐使臣制度、すなわち、諸外国に使臣を常駐させて、持続的に交渉を行うことの効用を説く。ウェストファリア条約以後のヨーロッパは、大小の国家が互いに対立し、抗争し合いながらも共存して、一つの世界、一つの場を作っている。起きてくる出来事をすべて見破り、これを迅速、正確に報告させるため、交渉家を各国に常々配置しておくことを余儀なくされる。 交渉の方法として、誠実さ、嘘をつかないことの大切さを説く。嘘つきと思われたら、持続的交渉そのものが不可能になる。彼は、これを言葉の使い方や人の心理の機微に触れながらモラリスト的に考察を重ねる。 「交渉家」、すなわち外交官を独立した専門職として確立させよということ。これは本の中で繰り返し、さまざまな角度から強調される。当時の大使は大半が大貴族や軍人だったという現実への辛辣な批判と表裏一体になっている。ただ、カリエールはそれにとどまらず、交渉家を志す青年に対する教育と訓練の方法を具体的に示している。特に、ウェストファリア条約以降の国際条約をすべて熟読すること。有能な交渉家の残した公刊、未公刊の回想記、報告の類に親しむことにより、ヨーロッパ近代史に通暁すること。ラテン語の他にドイツ語、イタリア語、スペイン語を学ぶべきことの3つを挙げている。この構想は、1711年にフランス外務省内に、将来在外公館の書記官、さらに派遣使節、大使となるべき青年を養成する機関として外務大臣トルシーが設置した「アカデミー・ポリティーク」(1720年、もしくは1721年まで存続)のカリキュラムに酷似している。
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