夕柳台
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 06:53 UTC 版)
「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の記事における「夕柳台」の解説
『ウルトラジャンプ』2017年9月号に掲載された、宮本深礼による短編作品。 あらすじ 次回の読み切り作品を描く上で必要なリアリティを求めて公園で遊ぶ子供たちのスケッチを行っていた露伴は、そこで会った親子からかつて住んでいた住宅地の夕柳台で遭遇した怪事件の情報を聞かされる。 その直後に露伴は子供に行った意地悪が原因で防犯ブザーを鳴らされその場から逃げ去るが、逃げて辿り着いた先が偶然にもその夕柳台であった事から、漫画に必要なリアリティを得るために親子から聞いた事件の真相について取材を開始する。 登場人物 岸辺 露伴(きしべ ろはん) 杜王町に住む人気漫画家。子供をスケッチするために公園を訪れ、そこで出会った親子から聞いた夕柳台の怪異について取材を行う。 ケンちゃん 露伴が公園で出会った少年で、本名は不明。勝手に露伴のスケッチブックを覗き見ていたため露伴に詰め寄られるが、そばにいた母親が「以前住んでいた夕柳台で「にたにた笑う黒猿」と呼ぶ怪物に襲われ、ショックで口がきけなくなってしまっている」という事情を露伴に説明し、興味を持った露伴に頼まれてその猿の絵をスケッチブックに描いた。 夕柳台の老人達 夕柳台に住む老人達。リーダー格の老人は頭に無数のあざがある事から、露伴は「世界地図の老爺」とあだ名をつけた。 夕柳台の環境の良さに心酔しており、土地の外に住む人間を「下側の人間」と呼んで見下している。 彼らによれば昔は子供の騒ぐ声などの騒音に悩まされていたそうだが、仏壇や神棚、地蔵や神社、知らない人間の墓にまで毎日祈りを捧げた結果、念願の静かな暮らしを手に入れる。その一方で騒音を出すものが勝手に壊れたり、この土地から去っているのも知っているが、自分たちの事しか頭にないため気にするどころかそれを「夕柳台の良さ」と称賛している。 しかし、その利己的な態度に不快感を覚えた露伴にヘブンズ・ドアーで「常に大声で喋る」と書き込まれたことで、自分達も黒く干涸びた老人に襲われるようになる。襲われた後は露伴に救急車を呼んでほしいと泣きつくが、露伴は救急車が黒く干涸びた老人から攻撃を受けないように夕柳台の坂の下に呼び、老人達には自分でそこまで行くように促した。 黒く干涸びた老人 夕柳台の静寂を守る存在。手足が異様に長く、皮膚はどす黒く変色してところどころ腐り落ちており、顔からは耳・鼻・眼球が欠落し、でたらめな方向に生えたらんぐい歯の口でにやにやと笑う。ケンちゃんはその姿を「にたにた笑う黒猿」と表現している。 普段は姿が見えず、夕柳台で騒音を出すと姿を現して攻撃を加える。姿を見ることができるのは攻撃対象となった者だけであり、スタンドと違って生身で触れる事もできる。 夕柳台に住む老人達の静かな生活を求める祈りによって現れた存在だが、騒音を出すものを機械的に襲っているだけで老人達に従っている訳ではない。また、攻撃対象となった人間の首を絞めて苦しむ様子を楽しんでいるような描写がある。 用語 夕柳台(ゆうやなぎだい) 杜王町の駅の西側、山手の方にある住宅地。閑静な場所で公園もあるが、騒音を嫌がる老人会の抗議により遊具は撤去され、柳の木だけが茂っている。 そこに住む老人たちによれば昔はよその住宅地と変わらない騒がしい住宅地だったそうだが、ある日をきっかけに子供のいる世帯は次々に引っ越し、騒音を出す動物やバイクなども寄り付かなくなって現在の状態になったという。
※この「夕柳台」の解説は、「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の解説の一部です。
「夕柳台」を含む「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の記事については、「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の概要を参照ください。
- 夕柳台のページへのリンク