基本体制の解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:06 UTC 版)
ラディオドンタ類は1980年代で初めて全身を復元され、頭部には放射状の歯、各1対の前部付属肢と突出した眼、胴部に複数対の鰭と櫛状の鰓をもつという独特な基本体制が判明した。しかしそれ以降も研究が進み、新たな特徴を発見されるだけでなく、既知の各部位に対する解釈も更新され続けていた。 Whittington & Briggs 1985 ではペイトイアの全身復元がなされ、本群の前述のような基本体制を判明したが、鰓は胴部の両筋の空間(鰓室)に収納されるように推測された。Bergström 1986 では前述の鰓室解釈を否定され、鰓は各胴節の背板(背面の硬い外骨格)に覆われるように復元された。しかしラディオドンタ類における背板の存在は否定的であり、Hou et al. 2006 をはじめとして各胴節を覆うように復元された。 3枚(背側1枚と左右2枚)の甲皮の存在はフルディアの再記載 Daley et al. 2009 で最初に判明したが、2010年代前期までではフルディアに特有の性質と考えられた。しかしアノマロカリスの再記載 Daley & Gregory 2014 をはじめとして、少なくとも背面の甲皮はフルディア以外のラディオドンタ類にも存在することが分かった。エーギロカシスをはじめとして、2010年代中期以降ではフルディアのように3枚の巨大な甲皮をもつ種類が次々と記載され、既知のアノマロカリスやアンプレクトベルアなどからも新たに左右2枚の甲皮が発見されるように至り、3枚の甲皮をもつことは、こうして徐々にラディオドンタ類全般に当てはまる基本的な特徴の1つだと判明した。 一部の種類のみに存在する特徴として、尾扇は Collins 1996 でアノマロカリスから、尾毛は Chen et al. 1994 でアノマロカリスとアンプレクトベルアから、背側の退化的な鰭は Van Roy et al. 2015 でエーギロカシスから、首の顎基様の構造体(gnathobase-like structures)はCong et al. 2017 でアンプレクトベルアから最初に発見された。 1990年代後期から2000年代にかけて、ラディオドンタ類(全般もしくは一部の種類)の各鰭の下に脚をもつという説は、いくつかの文献記載に取り上げられた。しかしこれはラディオドンタ類と誤解釈されたメガケイラ類パラペイトイアと、ラディオドンタ類としての本質が疑わしいククメリクルスのそれぞれの断片的な化石標本に基づいた推測に過ぎない。それに加えて、ラディオドンタ類の全身化石では脚に類する構造も見当たらず、この説は2010年代中期以降では否定的とされるようになった(詳細はパラペユトイア#系統関係を参照)。
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