基本亜群に関するファン・カンペンの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 23:40 UTC 版)
「ザイフェルト–ファン・カンペンの定理」の記事における「基本亜群に関するファン・カンペンの定理」の解説
円は代数トポロジーに於ける最も重要かつ基本的な例であるが、残念ながら上で与えた定理は円の基本群を計算できない。その理由は、円は連結な共通部分を持つような2つの開集合の和集合としては実現し得ないということにある。この問題は、幾何学的な状況に応じて選択をした基点の成す集合 A {\displaystyle A} 上の基本亜群 π 1 ( X , A ) {\displaystyle \pi _{1}(X,A)} を用いることによって解決することができる。円の場合には、2つの基点を選べばよい。 この亜群は A ∩ X {\displaystyle A\cap X} の点を結ぶ X {\displaystyle X} 内の曲線達の両端に相対的(両端を固定する)ホモトピー類からなる。とくに、 X {\displaystyle X} が可縮空間で、 A {\displaystyle A} が X {\displaystyle X} の相異なる2点からなるとき、 π 1 ( X , A ) {\displaystyle \pi _{1}(X,A)} は I {\displaystyle {\mathcal {I}}} としばしば書かれる亜群に同型であることが容易に見て取れる。この亜群は2つの頂点と各頂点間にちょうどひとつの射からなる。この亜群は、群の理論に於ける整数の成す群が果たすのと同様の役割を、亜群の理論に於いて果たす。亜群 I {\displaystyle {\mathcal {I}}} はまた亜群のホモトピーの概念を考えることを可能にする:つまりこれは亜群の圏に於ける単位区間対象である。 亜群の圏は全ての余極限、とくに全てのプッシュアウトを持つ。 定理. 位相空間 X {\displaystyle X} が2つの部分空間 X 1 {\displaystyle X_{1}} と X 2 {\displaystyle X_{2}} の内部によって被覆され、基点集合 A {\displaystyle A} は X 1 {\displaystyle X_{1}} と X 2 {\displaystyle X_{2}} と X 0 = X 1 ∩ X 2 {\displaystyle X_{0}=X_{1}\cap X_{2}} の全ての弧状連結成分と交わりを持つとする。このとき A {\displaystyle A} は X {\displaystyle X} の全ての弧状連結成分と交わり、かつ包含によって誘導された射からなる図式 P {\displaystyle P} は亜群の圏のプッシュアウト図式となる。 この定理は、基本亜群 π 1 ( X , A ) {\displaystyle \pi _{1}(X,A)} の完全な決定に際し、トポロジーから代数への移行手段を与える。代数および組合せ論を、幾つかの基点における基本群の決定に用いる必要がある。 この定理のひとつの解釈は、これがホモトピー1-型を計算するというものである。
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