土食文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 03:53 UTC 版)
一般的な食文化として、土を食材として用いる地域は世界各地に分布している。例えばアメリカ合衆国南部では黒人奴隷が持ち込んだ土食文化が普及し、調理済み土を一般商店で買い求めることができるし、ネイティブ・アメリカンはイワーキー(癒しの土、Ee-Wah-Kee)と呼び心労回復のために土を食べる。その他、ベトナムでもてなし料理として知られている土の網焼や、ハイチのテーレという名のビスケットにも土が原料として用いられている。フランス料理にも[要出典]煮込んだ土にルッコラの根を添えた「土のスープ」という料理がある。 樺太のアイヌ民族も、調理に土を使っていたことが知られている。 珪藻土(アイヌ語: チエトィ。「我らの食べる土」の意) を水に溶いて煮立てたものにハナウドの葉柄、ウラジロタデの若い茎、クロユリの鱗茎などを搗き潰して加え、油を加えたりして食する。 18世紀後期のドイツの博物学者フンボルトは、1800年6月にオリノコ川沿いの村で、オトマコ族(Otomacs)の住民が土を食べることを観察している。土は灰黄色のきめの細かいもので、直径10センチメートルあまりの団子にして保存される。直接呑み込むほか、煮炊きの際に溶かして使うこともある。持ち帰った団子を分析したところ、シリカとアルミナのほか若干の石灰から成り、脂肪や炭水化物は含まれていなかった。彼は、洪水の期間は魚が獲れないので土を食べて飢えをしのぐのであろうと結論づけた。 上記以外にも、飢饉や食糧難の時代に珪藻土やベントナイトが食品の増量材として使われたことがある。加藤清正が建てた当初の熊本城は、籠城戦の食糧を想定して土壁にカンピョウや芋がらをつなぎに塗りこめた珪藻土が用いられている。
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