国際共同事業の推進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 23:31 UTC 版)
「ボーイング787」の記事における「国際共同事業の推進」の解説
787は、機体の70%近くを海外メーカーを含めた約70社に開発させる国際共同事業である。これによって開発費を分散して負担できるとともに、世界中の最高技術を結集した機体になるとしている。参加企業は下請けを含めると世界で900社におよぶ。イタリア、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国、中華人民共和国といった国々が分担生産に参加しており、日本からも三菱重工業を始めとして数十社が参加している。ボーイング社外で製造された大型機体部品やエンジン等を最終組立工場に搬送するため、貨物型の747を改造した専用の輸送機が用いられており、日本では部品の生産工場が「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」(国指定国際戦略総合特区)である愛知県・岐阜県を中心としたエリアに存在するため中部国際空港に定期的に飛来している。 三菱重工業は747X計画時の2000年5月にボーイングとの包括提携を実現しており、機体製造における優位性を持っている。1994年に重要部分の日本担当が決定しており、三菱は海外企業として初めて主翼を担当(三菱が開発した炭素繊維複合材料は、F-2戦闘機の共同開発に際して航空機に初めて使用された。この時、アメリカ側も炭素系複合材の研究を行っていたものの、三菱側が開発した複合材の方が優秀であると評価を受けたため、三菱は主翼の製造の権利を勝ち取っている)、川崎重工業が主翼と中胴の結合部と中央翼、富士重工業(現・SUBARU)がセンターボックスと主翼フェアリングに内定していた。計画は747Xからソニック・クルーザーを経て787となり、三菱が主翼、川崎が前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫、富士が中央翼・主脚格納庫の組立てと中央翼との結合を担当している。エンジンでも、トレント1000に川崎、GEnxにIHI、両エンジンに三菱(名誘)が参加している。日本の分担割合は35%である。 機体重量比の半分以上に日本が得意分野とする炭素繊維複合材料(1機あたり炭素繊維複合材料で35t以上、炭素繊維で23t以上)が採用されており、世界最大のPAN系炭素繊維メーカーである東レは、ボーイングと一次構造材料向けに2006年から2021年までの16年間の長期供給契約に調印し、使用される炭素繊維材料の全量を供給する。 ボーイング787の大型部品をアメリカ等の工場へ空輸する際は、ボーイング747ドリームリフターが使用される。
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