国有化決議の通過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:34 UTC 版)
「第一インターナショナル」の記事における「国有化決議の通過」の解説
所有とくに土地所有に関するIWAの方針に関して、プルードン派は大敗北を被った。製本工のウジェーヌ・ヴァルラン(英語版)や染織工出身のジャーナリスト、ブノア・マロン(英語版)などプルードン派であった労働者階級の知識層たちはこのような情勢を追い風にして続々とマルクス派への合流を果たしていった。賛成130票対反対4票、棄権15票で、鉄道だけではなく耕地、山林、運河、道路、電信を含めて国有化を要求する決議を採択した。 国有化決議には経済の社会主義化(計画経済)以上の歴史的で、かつ社会的な意義が含まれている。 土地の私有制は貴族や地主による階級的な政治支配の源泉であり、国家レベルで地主と資本家による保守政治が強化される経済基盤だった。小作人は地主の恣意に左右され、独自の政治主張を掲げるすることはできなかったが、こうした中世的な政治構造が農村部の貧困と無知を増幅する温床となったのである。したがって、資本主義を打倒し、階級支配の社会構造を解体するには土地の私有に切り込む必要があった。土地国有化は政治支配の構図を転覆する革命への近道であった。また、世界各地の農村地帯では食糧生産地でありながら食糧不足が蔓延していたのだ。こうした混沌とした時代状況の中で、社会における貧富の階級格差の源泉である土地や生産資源の私有に批判の矛先が向かっていった。19世紀は食糧に限らず、ライフラインであるガスや水道の供給に至るまで、日光と大気以外のありとあらゆる必要物と社会的サービスの提供が民間企業の自由競争任せにされていた。徒な市場原理による価格決定、中心街や高級住宅地優先の都市開発、そしてインフラの不均衡が是正されるべき社会問題となっていた。土地および社会インフラの国有化は労働の解放を実現される一大重要事項だったのである。
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