国内避難民、難民の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 08:51 UTC 版)
「ティグレ紛争」の記事における「国内避難民、難民の発生」の解説
2020年11月、アムハラ州特殊部隊とアムハラ人の民兵らが、ティグレ州の西部を占領した。この地域は数十年間にわたりティグレ州とアムハラ州の間で領有が争われてきた地域である。アムハラ人の間では、この地域は91年にTPLFが当時の軍事独裁政権を打倒し国を民族別の9つの州へと再編した際に、ティグレ人勢力に奪われたとされている。さらに彼らはWelkait、Tegede、Kafta Humera、Tselemti、Rayaの領有を主張しており、アムハラ人部隊の進出後、この地域はアムハラ州により実効支配されている。占領地域内ではティグレ人に対する暴行や強制移住が行われており、2021年2月までに、超法規的殺人、拘禁、若い男性の失踪などが各地で発生、さらも約45,000人の民間人がこの地域を離れ、難民となった。ある難民はロイターによるインタビューに対し、難民とならなかったならば、アムハラ人たちに殺されていただろうと語った。他に41人の難民がインタビューを受けたが、彼らもアムハラ軍による攻撃、略奪、脅迫について語っている。 ティグレ州西部の占領地域における行政官Yabsira Eshetieは、アムハラ軍による暴行、強制移住などの一連の行動を否定した。一方、政府によって設立されたティグレ暫定政府の首班Mulu Negaは、アムハラ軍による暴行の事実を認めた。 アムハラ州当局はまた、強制移動に関する報告を否定し、エチオピア政府に対し州の境界を変更するよう求めた。アントニー・ブリンケン米国務長官は、ティグレ州内で民族浄化が行われていると述べた。 難民キャンプは過密状態となっており、COVID-19の感染が拡大するリスクが高まっている。 2020年11月、国連は、戦前からティグレ州内の4つの難民キャンプに避難していた10万人近いエリトリア難民について、「深刻な」物資不足が起きていると警告した。同月後半、国連はメケレから逃れるティグレ人について報告している。一方エチオピア政府は、もしティグレ州の部隊が民間人の中に隠れるならば、「容赦しない」と警告した。 2020年12月時点で、国連は100万人以上が国内避難民になったと推計している。紛また、5万人以上がスーダンに脱出した。通信、渡航の手段は現在も遮断されており、ヒューマン・ライツ・ウォッチはエチオピア政府は「支援活動を故意に妨害している」として、国際法違反だと警告した。 国連人権高等弁務官事務所によると、国連には「性暴力、超法規的殺人、略奪などに関する多くの悲惨な報告」が寄せられている。2020年12月から21年1月にかけて、ティグレ州東部のメケレ、Ayder、Adigrat、Wukroなど、各地の病院で発生した強姦事件についての報告は合計136件にのぼっており、同機関は、実際の発生件数はそれよりはるかに多いだろうと推測した。 国連難民高等弁務官事務所によれば、2021年2月2日時点で、Hitsats、Shimelbaに逃れた人々を中心とする、20000人のエリトリア難民が行方不明となっている。 国際危機グループによると、一連の戦闘による死者数は数千人にのぼっている。
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