合奏 (フェルメールの絵画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 15:17 UTC 版)
オランダ語: Het concert 英語: The Concert | |
作者 | ヨハネス・フェルメール |
---|---|
製作年 | 1664年頃 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 72.5 cm × 64.7 cm (28.5 in × 25.5 in) |
所蔵 | 所在不明 (1990年にイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館より盗難) |
『合奏』(がっそう、オランダ語: Het concert、英語: The Concert)は、オランダ黄金時代の画家として挙げられるヨハネス・フェルメールが、1664年頃に描いた油絵である。
構図
『合奏』には、座ってチェンバロを弾く若い女性、リュートを弾く男性、立って歌う女性の3人の人物が描かれている。チェンバロは理想郷アルカディアの風景画で飾られている。画面左手前のテーブルの下には弦楽器が描かれ、音楽というこの作品の主題をより高める役割を果たしている。
背景の壁には2点の絵画が掛けられている。右の絵画はフェルメールが『ヴァージナルの前に座る女』の背景にも描き入れている、ディルク・ファン・バビューレン作の娼館の情景を描いた『取り持ち女』である。これはフェルメールの義母マーリア・ティンスが所有していた絵画だった[1][注釈 1]。左の絵画には田園の風景が描かれている。当時のオランダ絵画において、音楽は性愛と関係付けられることがあり、背景に描かれた『取り持ち女』が性愛を象徴していると考えられている[1]。
来歴と盗難
1669年にアムステルダムで売りに出されたが、以降1780年までの所在は分かっていない[1]。その後、アメリカ合衆国の慈善家で美術収集家のイザベラ・スチュワート・ガードナーが、1892年にパリで開催されたオークションで5000ドルで落札し、1903年に彼女がボストンに創設したイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に展示した。
しかし、1990年3月18日未明に、ボストン市警の警察官を装った強盗2人組が美術館に押し入って警備員を拘束した上、本作を含めて、レンブラント・ファン・レインの『ガリラヤの海の嵐』、『自画像』などの作品3点、エドガー・ドガの素描5点、エドゥアール・マネの『トルトニ亭にて』、さらに、中国製の銅器など、計13点の所蔵品を窃盗した[2]。フェルメールの作品は1970年代以降たびたび盗難に遭ったが、その多くは再発見された。しかし、本作のみ、同時に盗難された他作品と共に、行方不明のままである[3]。フェルメールの『合奏』は盗難絵画としては最も高額な作品とされ、その評価額は2億ドル超と見なされている[4]。
合奏を取り扱った作品
脚注
注釈
- ^ マーリア・ティンスが所有していたのは、模写だという説もある。
出典
- ^ a b c http://www.essentialvermeer.com/cat_about/concert.html
- ^ “1990 Boston art heist rattles investigators”. Cape Cod Times. 2014年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月25日閲覧。
- ^ The Concert(gardnermuseum.org)
- ^ Stolen, a documentary about the theft of The Concert, from the PBS website.
関連項目
「合奏 (フェルメールの絵画)」の例文・使い方・用例・文例
- 金管楽器の合奏団.
- 弦楽合奏団.
- ピアノの調子を合奏調に高める.
- 合奏団
- 二部合奏
- 三部合奏
- オーケストラとソロの楽器のグループが合奏するバロック音楽
- 音楽を合奏すること
- 一調一声という,能楽の合奏
- 三味線の合奏で,曲に変化をつけるため,ふつうよりも高い音で演奏する調子のこと
- 三味線の合奏で,ふつうの音よりも高い音で演奏する人のこと
- 雅楽合奏の時の主役の奏者
- 邦楽合奏において,主旋律を変化させた旋律
- 西洋音楽において,様々な管弦楽器や打楽器で演奏される合奏
- 器楽合奏を行う人々の集団
- 器楽合奏における楽器の組み合わせ
- バイオリン属弦楽器だけの合奏による音楽の演奏形態
- (邦楽で)琴と三味線と尺八による合奏
- 三味線の合奏の主席演奏者
- 二人以上で三味線を合奏すること
- 合奏_(フェルメールの絵画)のページへのリンク