各色カメラの出力信号から輝度信号Yと色度信号I・Qを生成する
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 15:40 UTC 版)
「NTSC」の記事における「各色カメラの出力信号から輝度信号Yと色度信号I・Qを生成する」の解説
被写体で反射しビデオカメラのレンズに入射してきた光はダイクロイックプリズムまたはカラーフィルタによって赤・緑・青の各波長毎の像に分解され、レンズの焦点距離にある撮像面の撮像素子(かつては撮像管、近年は固体撮像素子)に像を結ぶ。撮像面上に投影された像は、撮像素子の光電効果もしくは微小フォトダイオードによって光の強弱を2次元平面上の電位の高低や抵抗値の高低へと変換され、水平および垂直走査によって走査線毎に分解された線順次(1次元の)電位信号として取り出されてくる。 輝度信号Yと色度信号I・Qはこの赤緑青各色のカメラから出力される色信号にガンマ補正を施し、重み付けを行って加算する事で生成する。ブラウン管などの表示装置に使用される三原色のISO/CIE 10527 色度図座標を 赤 x=0.670 y=0.330 緑 x=0.210 y=0.710 青 x=0.140 y=0.080 と想定し、無色の「白」を意味する信号を送出した時に受像機側で表示される光をCIE標準光源Cの座標 白 x=0.3101 y=0.3162 に設定して、これらの色に合致させた各色カメラからの出力色信号 赤:R 緑:G 青:B を0 (0IRE) - 1 (100IRE) の範囲に正規化したとき、 Er = R 0.45 {\displaystyle R^{0.45}} Eg = G 0.45 {\displaystyle G^{0.45}} Eb = B 0.45 {\displaystyle B^{0.45}} の様にガンマ補正を行い、7.5IREのセットアップレベル(最低輝度の「黒」を規定する信号レベル)を加算 E'r = 0.925Er + 0.075 E'g = 0.925Eg + 0.075 E'b = 0.925Eb + 0.075 したものを Y = 0.299 E'r + 0.587 E'g + 0.114 E'b I = 0.5959 E'r - 0.2746 E'g - 0.3213 E'b Q = 0.2115 E'r - 0.5227 E'g + 0.3112 E'b というマトリクスを実現する回路で変換を行う。受像機側では上記マトリクスの逆行列に相当する変換回路で輝度信号Yと色度信号I・Qから赤緑青の各色信号を復元し、表示装置を駆動する。 ただし上記三原色の色度図座標で発光する蛍光体は輝度が非常に低い物しか存在せず、現実のブラウン管では別の色で発光する蛍光体で代用し、色再現の差異は受像機側マトリクスの係数を変更して吸収している。 また、SMPTE-170Mでは「白」の座標は標準光源D65のx=0.3127 y=0.3290に変更され、三原色の座標もガンマ補正時の処理もセットアップレベルを加算する段階も1953年の規格制定当時の物とは内容が異なっている。詳細は当該規格参照。
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