各藩の御膳酒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 18:08 UTC 版)
各藩においては藩主が飲む酒を御膳酒という。 御膳酒は、それぞれの藩主の方針によって、将軍家と同じ伊丹酒や、そうでなくても同じ地方である摂泉十二郷の酒を御膳酒に指定した大名もいれば、自領の産業育成のため、国許(くにもと)特産の酒を御膳酒に指定した大名もいる。後者の場合、御膳酒は藩造酒(はんぞうしゅ)の最高級品であったが、藩造酒じたいの醸造技術が拙く、数々の努力にもかかわらずついに他国に通用するに至らなかった藩もあるので、そのような場合、藩主は藩の財政改善のため、味覚的に多少の我慢をして飲んでいたことになる。 御膳酒を造る国許の造り酒屋を御用酒屋(ごようざかや)、またそれを造る藩公認の酒師や杜氏を酒司(さかつかさ / さかじこ - 南部藩など)と呼んだ。この酒司は、一般によく飛鳥時代や奈良時代の造酒司(さけのつかさ / みきのつかさ)と混同されることが多いが、まったく別の概念である。 御用酒屋の中では、伊丹が有名になる前に銘醸地の聞こえが高かった僧坊酒の伝統を汲む奈良流から、柳生宗矩の紹介で伊達政宗に紹介され、慶長13年(1608年)に仙台藩の城内詰御酒御用(じょうないづめおんさけごよう)を命じられた初代榧森又右衛門(かやのもり・またえもん)が最初とされる。
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