各判決のまとめ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 03:12 UTC 版)
「パロディ・モンタージュ写真事件」の記事における「各判決のまとめ」の解説
一審の東京地裁ならびに上告審の最高裁は権利侵害を認めて白川勝訴の判決を下しており、損害賠償を命じた。第二次の二審 (控訴審) 東京高裁もこれに追従している。しかし第一次の二審のみ、アマノのモンタージュ写真が合法的な引用の要件を満たし、パロディ目的の改変は憲法が保障する表現の自由の範疇であり、かつ白川の氏名表示も不要であると判示し、法廷の場で大きく見解が分かれることとなった。第一次控訴審は「若干特異な判断」だったと後に評されている。 また、一審および第二次の二審では白川の名誉回復のために、朝日・毎日・読売の新聞3紙への謝罪広告掲載も命ぜられているが、第二次の上告審で謝罪広告命令は破棄されている。 第一次一審 (東京地裁 昭和47年11月20日判決)-- 白川側の勝訴。損害賠償額50万円および訴訟費用の負担、ならびに朝日・毎日・読売の新聞3紙への謝罪広告掲載がアマノ側に対して命じられた。 第一次控訴審 (東京高裁 昭和51年5月19日判決)-- アマノ側の勝訴。本件モンタージュ写真は著作権法の目的である「文化の発展」に寄与する。タイヤ画像を合成することで虚構の世界観を表現するパロディである。原著作者の思想・感情を風刺・揶揄していることから、そのまま取り込んだ剽窃に該当しない。旧30条の節録引用は、原著作物の思想・感情が改変された本件にも適用される。さらに節録引用を定めた旧法 第30条は、本件においては出所の明示を要求しないと解釈。 第一次上告審 (最高裁 昭和55年3月29日判決)-- 控訴審を差戻。原著作物の本質的な特徴を大きく残した上で改変していることから、著作者人格権のうち同一性保持権の侵害に当たる。 第二次控訴審 (東京高裁 昭和58年2月23日判決)-- 概ね第一次上告審を支持。著作者人格権侵害で50万円の損害賠償を命じたほか、謝罪広告の掲載も一審の判断を踏襲した。 第二次上告審 (最高裁 昭和61年5月30日判決) -- 再び控訴審を差戻。著作財産権と著作者人格権侵害で損害賠償金額の算出を分けるべきと判示したほか、名誉毀損が生じた社会的事実が存在しないことから謝罪広告掲載を不要とした。 第三次控訴審 -- 昭和62年 (1987年) に和解が成立し、提訴から16年で結審。
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