台風による高潮被害
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伊勢湾台風、室戸台風、関東大水害(明治43年の大水害・大正6年の高潮災害)や、永祚の風、安政3年の大風災、シーボルト台風など、台風による甚大な被害は高潮によるものも多い。高潮が発生すると海面が高くなり、陸地に海水が入り込む。その結果、沿岸部の住宅や耕地が浸水したり、人が波にさらわれたりする。また、9月中旬は1年で最も潮位の高い時期であり、毎年のように全国各地で被害が出ている。台風などによる気圧の低下と風の吹き寄せによって生じる海面上昇の高さを偏差という。 日本でこれまでに観測された気象潮の最大値は、伊勢湾台風の時の3.45メートル(名古屋港)であり、上記の国々では更に高くなると思われる。また天文潮も加えた潮位では、同じく伊勢湾台風の時の3.89メートルが観測史上日本最大である。災害の起こるおそれがあると予想される場合、沿岸部に高潮警報(注意報)が発表される。 台風によって特に大きな被害を出した近年の高潮災害には、次のような事例がある。 1999年(平成11年)9月24日 台風18号 熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)松合地区で起こった高潮で12人の犠牲者が出ている。海水面そのものが陸地まで押し寄せるという、津波と似た特性を持っていた。 2004年(平成16年)8月30日 - 8月31日 台風16号 岡山県と香川県を中心とした瀬戸内海沿岸部で大きな高潮被害が発生し、岡山県倉敷市で1人、香川県高松市で2人の犠牲者を出した。当時は潮位が年間で最も高くなる夏季の大潮の時期にあたり、台風が接近した30日夜から31日未明は、満潮の時間帯でもあった。 これに台風接近に伴う気圧低下による吸い上げ効果と、南 - 南西の暴風による吹き寄せ効果といった複数の悪条件が重なったことで、宇野港(岡山県玉野市)・高松港(高松市)の両検潮所において、観測史上最高の潮位を記録した。この被害から約1週間が経過した9月7日にも、台風18号の接近によって再び高潮が発生し、復旧作業をしていた地域で浸水被害が出ている。
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