収容継続申請事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 17:10 UTC 版)
収容継続申請事件は、少年院の長が少年院から退院させるに不適当であると認めた在院者について、家庭裁判所が収容期間の延長を認めるかどうかを判断する手続をいう。刑事処分において対応する手続はない。 在院者が20歳に達したときは、少年院の長は、これを退院させなければならない(少年院法137条1項本文)が、送致後1年を経過しない場合は、送致の時から1年間に限り、(収容継続申請をせずに)収容を継続することができる(少年院法137条1項但書)。 ただし、前項の場合において、在院者の心身に著しい障害があり、又は犯罪的傾向が矯正されていないため収容を継続するのが相当と認めるときは、本人を送致した家庭裁判所に対して、その収容を継続すべき旨の決定の申請をしなければならない(少年院法138条1項)。23歳に達する在院者の精神に著しい障害があり、医療に関する専門的知識及び技術を踏まえて矯正教育を継続して行うことが特に必要であるため収容を継続するのが相当と認めるときも、同様である(少年院法139条1項)。 収容継続申請を受理した裁判所は、その審理にあたり、医学、心理学、教育学、社会学その他専門的知識を有する者及び本人を収容中の少年院の職員の意見をきかなければならない(少年院法138条3項、139条3項)。実務上、この意見聴取は、少年保護手続と同様、家庭裁判所調査官に調査を命じ、調査の一環として少年院の職員の意見を聴取させ、家庭裁判所調査官自身の意見とともに報告させるという方法により行われているようである。 裁判所は、収容継続をする場合には、審判期日を開いて収容継続の事由を本人に告知し、弁解の機会を与えなければならないと解されている(少年審判規則29条の2参照)。 裁判所は、本人が前述した少年院法138条1項の状況にあると認めるときは、23歳を超えない期間を定めて(少年院法139条1項所定の状況にあると認めるときは、26歳を超えない期間を定めて第三種少年院に)、収容を継続すべき旨の決定をしなければならない(少年院法138条1項、139条2項)。申請された期間を超える収容継続を認めることもできる。申請の手続に違法があればこれを却下する旨の決定を、収容継続の事由が存在しなければ申請を棄却する旨の決定をするのが実務の例である。 なお、少年院法138条1項,139条1項所定の「収容を継続するのが相当」とは、収容継続が本人の更生のために必要であり、かつ収容継続により矯正教育の効果が挙がると期待されることを意味する。つまり、非行事実がいかに悪質であろうと、それだけの理由で収容を継続することはできない。 収容継続期間は、収容教育に必要な期間と仮退院期間中の保護観察(更生保護法42条、40条)による社会内教育に必要な期間とを併せた期間であるから、決定で定められた全期間収容されるわけではない。仮退院の申請(少年院法135条)の便宜のため、裁判所は、収容継続の決定において、収容教育に必要と認めた期間を明示する例が多いようである。 少年保護手続と同様、本人の少年時の保護者は付添人選任権や審判出席権を有するし、本人も付添人選任権や抗告権を有する。
※この「収容継続申請事件」の解説は、「準少年保護手続」の解説の一部です。
「収容継続申請事件」を含む「準少年保護手続」の記事については、「準少年保護手続」の概要を参照ください。
- 収容継続申請事件のページへのリンク